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O.R.メリング「歌う石」

歌う石 O.R.メリング「ドルイドの歌」は鉄の時代の英雄クーフーリンを主人公にしていたが、本書はそれよりはるかに時代をさかのぼって、ゲーディル族とダナーン族の神々の時代、歴史も神話もあいまいな紀元前1500年の青銅器時代に設定した物語である。

捨て子だった18歳のケイはアメリカのある街に一人きりで、市の中心部にある古いアパートに住んでいる。ある夜、ケイは夢を見て外に出た。中庭には小さな池があって月光にきらめいている。金髪を肩に垂らしたケイは池のふちにしゃがみこむ。夢はここひと月ばかり繰り返して襲ってくるのだ。池の水をかきまぜると夢で見た顔が浮かんできた。助けを求める呼び声を感じる。ケイは幼いときからよく奇妙な夢や幻視を見ていた。そこへ「だいじょうぶ」と声がした。その声は同じアパートに住むマルタ島出身の学生アランだった。
彼の部屋へ誘われケイは生い立ちを話す。最後の里親はいい人だったが、16歳で独立してひとりで暮らしている。ある日16册の本が小包で届く。ほとんど英語だったが何語かわからないのがあって大学の先生に聞きに行き、その年は古アイルランド語を勉強した。一つの話はマルタ島の石の寺院の話だった。
翌日、ケイは一人でアイルランドへ発つ。ひと月後に会う約束をしてアランはマルタ島へ。
アイルランドへ着くと海辺の小都市ブレイに行く。どの物語も「歌う石」があらゆる問いの答えを握っていた。「石が見つかりますように」。下宿屋に1カ月の約束をしてその辺りを散歩し、やがて行く場所を見つける。バスでエニスケリーへ行き、村を出て歩き続ける。やがて巨石を見つけそのアーチをくぐる。あらがえない力に背中を押されてアーチの向こう側に出ると、そこは別世界だった。

そこからケイと途中で出会った少女アエーンとの二人旅がはじまる。二人はその森を抜け河を渉り峰を登る。やがて老人と出会い、ダナーン族のいにしえの四つの宝を見つけるように言われる。
四つの宝を探す旅の冒険は略します。アランそっくりの若き族長カハルが登場してすごくおもしろい。
旅が終わって最後に老人は言う。「魔術師とは、道に迷い、ひとりきりとなり、自らを探し求める時間を持たねばならぬもの。それもまた、そなたの訓練には欠かせぬものだったのじゃよ」。
森の木々の名前、ハンノキ、オーク、山トネリコの名称を見るだけで、わたしの気持ちがたかぶっちゃうよ。
アメリカにもどったケイはマルタ島からもどったアランと再会する。「・・・〈古代の石〉さ。断崖と海を見晴らす石の大宮殿なんだ。なんだか、自分が大昔の王さまで、きみが高貴な姫君としてそばにいるような気がした」(講談社 1600円+税)

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2007年09月20日 01:24に投稿されたエントリーのページです。

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