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O.R.メリング「妖精王の月」はものすごくロマンティック

妖精王の月 O.R. メリングこのシリーズの最初に読んで惹きこまれた本。まず巻頭のW・B・イェイツの詩「盗まれた子ども」にいかれた。

    人の子どもよ、行け
    水辺へ、また荒れ野へ
    妖精と手に手を取って
    この世にはおまえに理解できぬほどの
    嘆きが満ちているのだから

ダブリンの街、リフィー河をにごった水が流れていく。橋の上にいた男が「河よ、歌い方を忘れてしまったのか」、指先から光の矢がにごった水をつらぬくと、一瞬河は自由に流れた。河はうたった「王がゆかれる、王にさかえあれ」。
古本屋を兼ねた喫茶店の窓際の席にフィンダファー(フィン)がいると、「ここにかけていいですか」と美しい若者が聞いた。若者は詩を書いた一枚の紙を渡し、シーの塚でぼくと会ってくれという。「タラへきてくれ」と言って若者は去って行った。白昼夢のような出来事だった。店の人はさっきリフィー河が一分だけ透明になって流れるのを見た人がいると言った。
二人でアイルランドを旅する計画を手紙でやりとりしていた、仲良しの従姉妹のグウェンがカナダからやってきた。同じように金髪だがフィンはほっそりグウェンはちょっと太めである。
タラへの旅はヒッチハイクで、しなびた小男に乗せてもらった車で着くと、駐車場や喫茶店があった。向こうの方にタラの丘に通じる鉄門がある。二人は真夜中を待って石壁を登りタラの丘に立った。〈人質の墳墓〉の南京錠をこじあけて入り二人は眠る。塚山の門が開き黒いマントをひるがした若者がフィンを連れて行く。グウェンは叫ぶが「彼女の答えはイエスだ」と言われる。
朝になって目が覚めたグウェンはフィンがいないのに気づく。「妖精たちにさらわれたんだ」。探しながら広い道へ出ると昨日の小男が待っていた。そして車に乗せて着いた場所で、これからはバスで西へ行くように言う。
妖精たちは特別の才能を持ち主なら誰でも歓迎するので、アイルランドの音楽家や作家はあっちへ行って作品を持ち帰っているそうな。フィンは少なくとも7年間はあっちへ行ってなきゃならないと聞いて、グウェンは連れ出そうと決心する。

「ドルイドの歌」「歌う石」よりもロマンチックで、二人の少女の恋人と出会いがある。まっすぐに妖精の国へ行ってしまい、不死の世界から生死ある世界に恋人ともどってくるフィン。それを助けようとするグウェンはカナダ人らしい合理的精神の持ち主だが、村で出会ったダーラと恋に落ちる。「あたし、あなたの見かけがいいから、好きなのかもしれないわ」「きみも、ぼくの頭を少しは買ってほしいな」(講談社 1400円)

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2007年09月21日 00:59に投稿されたエントリーのページです。

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