この本を見るまで「十五少年漂流記」のことなんか頭の隅っこにさえなかったのに、見た瞬間に小学生のころ、この物語が大好きだったことを思い出した。
うちにあったのは森田思軒訳「十五少年漂流記」で、黒岩涙香訳「巌窟王」とともに日本文学全集みたいな一冊の本に入っていた。「巌窟王」のほうがもちろん主で、メルセデスがお露さんになっている涙香訳がわたしの「モンテ・クリスト伯」の初体験だった。
ジュール・ベルヌの本を読むのもはじめでだったが、作家のことなど気にならず、15人の少年たちの知恵や友情についてを読むのが大好きだった。一度読むとあとは好きなところを何度も読む。最後に助かるところが大好きだった(笑)。
本書は物語のあらすじをたどりながら、時代背景や漂流場所や生活道具、その地に住む動物たち、魚などの図解があって楽しめる。
19世紀リンカーン大統領の時代、ニュージーランドはオークランドの寄宿学校の生徒たち14人と見習い水夫1人と犬1匹が、翌日の回遊旅行に備えて小型船に乗り込んでいた。なぜか係留ロープが解けて外洋の嵐の中をさまようはめになる。嵐にもまれた船は3週間も漂い、ようやく陸地に叩きつけられて停まる。漂着したのはオークランドから約8000キロの南米の南の端の島だった。
15人はその島へ上陸して洞穴を見つけそこで暮らすことになる。少年たちは船に乗せてあった荷物をこの洞穴に運び、自給自足の生活をはじめる。その工夫が図解してあってなるほどである。
梅田紀代志さんの絵がクラシックな色調で、きちんと当時の様子を描き出してしるところに感心した。図書館の児童書は楽しい。(PHP研究所 1800円+税)