7世紀アイルランドを舞台にしたピーター・トレメインの修道女フィデルマ・シリーズの2冊目。原作では3番目の作品である。前作「蜘蛛の巣」は第5作だった。日本人に理解しやすいのから訳しているみたい。でも本書を読んでいると、なつかしそうにエイダルフ修道士のことを思い出しているので、こちらのほうが後かと思った。1作目に登場したあと故郷に帰ったけど、またアイルランドへ来る機会があって「蜘蛛の巣」となったのね。イギリスではすでに17作出ていて、もうすぐに18冊目が出る(アメリカでも来年には17作目が出る)という人気のシリーズである。
雷鳴とどろく中、尾根道を騎乗の女性が疾走している。モアン王国のキャシェルへ兄に呼ばれてやってきた修道女フィデルマである。城へ着いて出会ったのはラーハン王国の使節で無礼な態度をとる。そこへ国王直属の戦士カースが出迎える。叔父であるカハル王が重態であるという。兄は王位継承者である。
兄の話ではラーハンからダカーンという大学者が、モアン王国にあるロス・アラハーの修道院の研究や教育のことを聞いて、修道院へ滞在したいと申し入れ、喜んで受け入れられた。だが彼が何者かに殺された。そのニュースが伝えられるとラーハン側は大変な要求をしてきた上に、修道院長(兄妹の従兄弟)を〈タラの大集会〉で訴えるという。
兄はフィデルマにダカーン殺害の真相を探ってほしいと頼む。〈タラの大集会〉までには3週間しかない。翌朝、フィデルマはカースとともにロス・アラハーへ向かう。
途中で焼き払われた村を通り、修道女と孤児たちを見つけていっしょに山を歩くなど苦難の旅を続け、目指した修道院に到着する。
入り組んだ筋立て、たくさんの登場人物、複雑で読みにくさはあるけど、筋が一本しっかりと通っていて気持ちよい。最後の〈タラの大集会〉ではフィデルマの弁論が冴えわたる。楽しかった。(甲斐萬里江訳 創元推理文庫 上下とも 800円+税)