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ウィーン・ミステリー クルト・ブラハルツ「カルトの影」

いままで読んだ5冊の「現代ウィーン・ミステリー・シリーズ」の中では、いちばんハードボイルド私立探偵小説っぽい作品。
アードリアン、ヴァンダ、マリウスの三人は興信所を共同で経営している。真夏で外は保養地に向かう車の長蛇の列ができているのに、アードリアンはオフィスに座っている。デスクの引き出しにはエリック・アンブラーのスパイ小説が入っており、カードケースにはワイン〈ウーフドラー〉の2リットル瓶が置いてある。
ヴァンダはレズビアンの美女で空手ができて腕っ節が強く冒険が好き。マリウスはメカに強く盗聴やハッカー、車の改造が得意で知的好奇心が強い。アードリアン(語り手)はちびで、でぶで、暑い日にミステリーとワインを友にオフィスに座っているのが好きである。
今日は二人は仕事で出て行き、アードリアンだけがオフィスにいると来客があった。その男は有名な資産家キュンツルの秘書で、キュンツルの娘を捜しだしてほしいと言う。彼女はあるカルト集団に入ったという説明に「こりゃだめだ」と思わず口にしてしまうが、依頼人はかなりの額の小切手を前払いする。
夕方から外に出て映画を見てワインバーに入る。カウンターにはひとりぼっちのかわいこちゃんがいるはずなのに一人もいない。実際には一人いた、カバのような大女だ。彼女が横に座って誘うのをどう断ろうかと苦心するが、結局は彼女(大学生のクローディア)の部屋へ行く。
翌日からカルト集団について調査をはじめる。タントラについて勉強しサークルにも行ってみる。クローディアがその仲間だと知り、聞くと指導者のカタリーナはキュンツルの娘だと言う。
それからは車のタイヤを切られたり、殴られたりと妨害を受けながら調査を続ける。内務省の役人がきて免許取り消しをほのめかす。
アードリアンは役人に〈ウーフドラー〉をすすめる。彼にこの酒は禁止されているんじゃないかと聞かれるが、最近になって解禁されたけど、目が見えなくなるとかバカになると言われてたって答えるのだが、もしかしてアブサンのことかと思ったら違った。
検索結果【Ubudler:南ブルゲンランド特有のワイン。様々な雑種のぶどうを集めて造ったワイン。ビジネスではなく、伝統を重んじる意味の方が強い。】(オーストリアワインに関する用語辞典)

もういっこ、アードリアンがヴァンダにキュンツルのことをブランデッシのような男というところがあった。懐かしきハードリー・チェイスの「ミス・ブランディッシの蘭」の、ミス・ブランディッシの金持ちの父親のことね。(郷 正文訳 水声社 1400円+税)

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2007年10月28日 23:09に投稿されたエントリーのページです。

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