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イタリア捜査シリーズ アレッサンドロ・ペリッシノット「8017列車」

8017列車 (柏艪舎文芸シリーズ—イタリア捜査シリーズ) アレッサンドロ ペリッシノット図書館で見つけたおしゃれな装丁の本。イタリアのミステリーは先日、ルカ・ディ・フルヴィオ「ディオニュソスの階段」を読んだところだ。またイギリスの作家だけれど、ディヴィット・ヒューソンのローマ市警ものも2冊読んでいる。なんとなく親しみをもって読み出したんだけど、100年前の物語でもなく現代の市警ものでもない。第二次大戦後のイタリアの社会が描かれていて、知らなかった時代の闇に引きずられていく。

1944年3月、南イタリアの〈アルミ・トンネル〉で蒸気機関車が牽引する列車が停滞し、煤煙の悪性ガスのため400人から600人近くの人が亡くなった。「記憶されるより早く忘れてられてしまった」惨劇である。(あとがきには、日本でも同じような事故が同じ時期に起こったことが記されている。)この事故の様子がいちばんはじめにある。
そして2年後1946年6月の北イタリアのトリノになり物語がはじまる。元鉄道公安官だったアデルモ・バウディーノは公職追放されて、いまは建設工事現場で働いている。家に帰ると老いた母がつつましい夕食を用意している。
アデルモは〈国民解放委員会・公職追放対象分子リスト〉に載せられ追放された。彼はストライキにも参加した等と弁明書をつくって提出したが証人がおらず認められなかった。
アデルモは夢にうなされて目が覚める。パルチザンの一員として戦っていたときの悪夢だ。その俺がなぜファシストで対独協力者にされてしまったのか。
弁当を食べながら読んでいた新聞で彼は知った名前を見る。昔鉄道にいた男が刺殺されたのだ。次に新聞で見つけたのは、やはり鉄道員だった男が刺殺された事件である。アデルモは親友のベルトに食事をおごってもらいながら相談する。ベルトは父が裕福な公証人で、仕事の世話をするというが断り続けている。でも、今回の捜査は手伝ってもらおうと思う。

殺された男たちのことを調べるとナポリの町名が浮かび上がる。アデルモは列車でナポリに向かい、イタリアの南と北はこんなに違うのかとおどろく。
レストランで注文するのに名前がわからず、近くのテーブルの上を指差すと、「ああ、ピッツアですね」と持ってくる。どうして食べようかと思案する気持ちがよくわかる(笑)。それからその食感や味などの説明が、この素晴らしい食べ物をはじめて食べた男の口から語られる。
都会や田舎を犯人を求めて歩くところもよく書かれている。そしてなぜ元鉄道員が殺されていくのかもわかっていく。そして知り合った女性は坊主頭だった。彼女も誤ってファシスト協力者として髪を切られたのだが、それ以来伸ばすのをやめたと言う。
誤ってファシストとされた男と女が、誠実に生きようとする姿を描いた力作。2003年発表、翻訳は2005年。よかったです。(菅谷 誠訳 発行所:柏艪社 発売元:星雲社 1600円+税)

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2007年11月21日 00:52に投稿されたエントリーのページです。

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