2000年に出た「英米短編ミステリー名人選集」全8巻のうちの1冊。レジナルド・ヒルはダルジール&パスコーのシリーズが大好きで、翻訳のあるものはほとんど読んでいる。ヒルにはもう一つ私立探偵シリーズがあるのだが、読もうと思いつつ全然手をつけていなかった。本書を読もうと思ったのは、ダルジール&パスコーものが一編あるのを読みたいのと、私立探偵ジョー・シックススミスものが一編入っているからだ。もしよかったら追いかけなければ、ということで読み出した。
「雪はくぼんでいた」はクリスマス・ストーリー。ダルジールは例年どおりパスコー家でクリスマスの翌日のボクシング・デイに招待されるつもりだったが、パスコーは今年は一家で田舎のホテルに行くことにしたと言う。おれも行くと言って電話すると、神の配慮かキャンセルがあって部屋がとれる。晩餐はホテル代に含まれているということで、ダルジールはめちゃ飲みしてなにもかも忘れてのはっちゃめちゃ。パスコーとエリーの娘ロージーがいい場所をとっており、ファンとしてはとても楽しい一編。
私立探偵ジョーはロンドンの北方にある町で旋盤工をしていたが、クビになったので憧れていた私立探偵になる。40歳に近いはげ頭の黒人のジョーはユーモアがあってうまく世渡りしている感じ。
「この葬儀取りやめ」は、伯母さんから隣人の葬式のことでの電話からはじまる。葬式の予約取り消しがあったので、混んでいるからと伸ばされていた隣人の葬式が明日できるという。葬儀場で予約取り消しなんておかしな話のやりとりがおもしろい。葬儀場で「ダニーボーイ」を歌うように遺言があったと言われて、しかたなくジョーが歌うと拍手があった。よそのお葬式にきたのに手違いがみたいと拍手した女は葬儀がすんでから言う。
シリーズ以外の作品が11作あるのだが、ちょっと意地が悪い感じでうまいなと思うが好きにはなれなかった。(宮脇孝雄ほか訳 木村仁良解説 光文社文庫 590円+税)