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クラシック・ミステリーの佳作 M・R・ラインハート「ジェニー・ブライス事件」

ジェニー・ブライス事件 (論創海外ミステリ) メアリ・ロバーツ ラインハートM・R・ラインハート(1876〜1958 アメリカ、ペンシルバニア州ピッツヴァーグ出身)の作品をはじめて読んだ。読みやすそうという単純な理由で読み出したのだが、おもしろかったのでよかった。アガサ・クリスティより10年先輩だが、「アメリカのクリスティ」と言われていたそうだ。作品の多さと達者な書き方や明るい表現で似通っているのだろう。
本書は1912年から連載をはじめたというから古い作品だけど、主人公の下宿屋経営者ピットマン夫人のイキイキした行動や話しぶりが活発で気持ちよい。

〈私〉(ピットマン夫人)は良家の娘だったが、15歳のときイギリス人と恋をして駆け落ちした。20年間の放浪の末、夫が亡くなり100ドルほどのお金を持って故郷のピッツヴァーグへもどった。いまはアレゲーニー川の下流で家を借り、賄い付きの下宿屋をしている。近所に劇場があり泊まり客がいるのでなんとかやっていけている。懸命に働いてもたいしたことはない。夏の夜に公園のベンチに座って昔住んでいた、いまは妹所有の大きな屋敷を眺めることがある。
川は毎年春になると雪解けの水が氾濫する。その年もそうだった。地下室、1階と水は上がってくる。下宿人は劇場関係者のラドリーと妻のジェニーと犬のピーター、絹製品を売っている商人のレイノルズ氏である。水を避けて上の階に一時行くように言うが、ラドリー夫妻の様子がおかしい。ジェニーはその後出て行ったのか姿が見えない。
外はボートで行き来するようになり、ピーターと外を見ていると、向こうから犬用の生レバーとトレイとペーパーナフキンをたくさん乗せたボートがやってくる。ホルコムと名乗った彼は、ポケットからノートを出し、いままでに救援した犬は48匹、猫は93匹ですよと言ってピーターにレバーを食べさせてくれた。そして〈私〉が動揺しているのを見てなにかかぎつれる。事件こそ彼の生き甲斐らしい。

ジェニーはどこへ行ってしまったのか、殺されたのか。〈私〉は警察へ行って怪しいと思ったことを訴える。そしてホルコム氏とともに死体なき殺人事件の捜査をはじめる。
新聞記者のハーウエル氏と〈私〉の妹の娘リダとの恋にも一役買い、殺人事件も解決し、めでたしの結末。
ハーウエル氏が聞く。「・・・そんな冷たい仮面で世間をごまかしても、みだしなみはレディそのもので心は少女のままじゃないですか。いったい何者なんです?」(鬼頭玲子訳 論創社 1600円+税)

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2007年12月07日 00:26に投稿されたエントリーのページです。

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