開いた窓からキッチンへすがすがしい風が通っていくのを感じる表紙。イギリスの田舎の家のキッチンの四季を描いた絵本である。本を開くとカーテンが風で舞い上がっていて、調理台の上にはレタスやニワトコの花が見える。
冬からはじまって季節ごとのキッチンの様子と料理の説明がある。冬のキッチンの主役はシチュー鍋、脇役は土のついた根菜、遠い国からやってきた果物類が鮮やかな色を添える。ティータイムやクリスマスの料理がいろいろ。
春は大掃除をして食器棚の整理もする。イースターがやってきて卵料理のいろいろ。ニワトコの花はローションになり、花のリキュールになり、ジュースやアイスにも使う。
夏になるとドアも窓も開けてお料理、キッチンには果物の甘い香りが漂う。スグリのジュース、ラズベリーのアイスクリーム、そして外に出てピクニック。
秋がきたら、あらゆる木の実でゼリーやチャツネづくり、プラム酒もつくって冬の楽しみに。カボチャ、キノコもいっぱい。そして貯蔵庫には並んだ瓶詰めが宝物のよう。地下室には根菜がぎっしりとつまって、いつ冬がきても大丈夫だ。
溜め息のでる絵本だ。アンジェラ・バレットの絵はすべてを描ききっている。カーテンの柄、壁紙の模様、花を生けた焼き物の花瓶の模様は花を生かしてすてき。野菜の絵も皿に盛られた料理の絵もすてき。何度見てもすてき。
アンジェラ・バレットはロンドン在住のイラストレーター。彼女が描いた「秘密の花園」が欲しい。(ウィルヘルム菊江訳 西村書店 1854円)