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アン・クリーヴス「大鴉の啼く冬」

大鴉の啼く冬 (創元推理文庫 M ク 13-1) アン・クリーヴスはじめての作家だったが書店で手にしてなんとなく良さそうだと思った。解説に2006年度英国推理作家協会賞最優秀長編賞を受賞したとある。著作リストを見たらすでにたくさんの作品を書いている人で、本書は19冊目にあたる。そして〈シェトランド四重奏(カルテット)〉の第1作となる。アン・クリーヴスはシェトランドの春夏秋冬それぞれの季節に合わせて四重奏を奏でる予定だそうで、第2作はもう脱稿したということだ。本書がたくさんの人に読まれて次作も翻訳されることを願う。

本書はイングランド本島からはるか離れた、北海の北のあたりに浮かぶシェトランド諸島の一つの島が舞台となっている(ただし作品に書かれているのは創作した村だそうだ)。年中吹き荒れる強風のために木が育たないという極寒の地である。寒さの描写がしっかりと書かれているので、登場人物といっしょになって冷え込む気分になる。熱いお茶を飲むシーンでほっとしたり。

独り住まいのマグナスは元旦なので窓に灯りが見えれば誰か来るかと、暖炉で泥炭を燃やし、ウィスキーと菓子を用意している。だがこの家には8年間だれも来たことがない。うとうとしていると娘が二人がいたので中に入れる。女子高生のキャサリンとサリー。
5日後に美貌で才気煥発なキャサリンの絞殺死体が雪の中で発見される。発見したのは画家のフラン。ロンドン出身だが当地の有力者ダンカンの前妻で、娘のキャシーと二人暮らしである。
警部ペレスは他の島の出身で本土の警察にいたが、離婚した後この地へ〈栄転〉してきた。
マグナスは知的障害があり、保護者の母親が亡くなってから、だれにも相手にされずに暮らしている。8年前に行方不明になった少女を殺したと噂されてもいる。今回の事件のいちばんの容疑者として逮捕されるが、ペレスには納得がいかない。

この島ではだれがなにをしても翌日にはだれもが知っているという村社会である。その中でのけ者のマグナス、よそ者のフラン、キャサリンも転校生だった。ペレスも他の島の出身だ。そういう彼らの気持ちや行動もよく書かれている。傍若無人なキャサリンに対して、殺意を抱いた犯人の気持ちもよくわかる。

ペレスはフランに淡い恋心を抱くが、そのままというところがいい。ヘンに好きあったりしないところが大人の小説だ。(玉木享訳 創元推理文庫1100円+税)

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2007年12月21日 00:47に投稿されたエントリーのページです。

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