レジナルド・ヒルのダルジール警視シリーズをほとんど読んだと思っていたが、まだ未読の本があった。7作目になる本書である。といっても未訳が2冊あるらしい。そして、いま20作目が英米では発表されているみたいだ。
先日本屋で見かけて買ったのだが、1985年発行のもので2001年4刷となっている。シリーズ最初から読んでいないとこういうことになるのよね。いま読んですごくおもしろいのでこういうこともまあいいか、なんて思ったりしている。
シリーズ中いちばん気に入っている「武器と女たち」は、エリー・パスコーと親友のダフネ・アルダーマンが主役なんだけど、彼女たちがどうして知り合い親友になったかが本書でわかった。エリーとピーターの娘ローズが9カ月の赤ん坊のときの話だ。ローズはすっかり少女に成長したけど「真夜中への挨拶」までの11作の間に病気したりいろいろあった。
「武器と女たち」で彼女らが行く海辺の断崖にある家のこともここで詳しくわかった。
ダルジールから話を聞いてやれと言われて、パスコー主任警部は警察署を訪ねて来たエルグッドと会う。エルグッドは炭坑夫から身を起こして製陶会社を作ったが、会社は欧州工業製陶に買収されて英国支社長の立場である。彼は過去に死んだ2人の社員が殺されたのではないかと恐れている、社員のパトリック・アルダーマンが怪しいというのだ。
エリーは私立学校の前でプラカードを掲げている四人の中にいる。〈なんのために大金を払うのか〉〈私立学校は社会の悪だ〉等々。その学校へパトリックがダフネと娘を送って来る。ダフネが帰ろうとすると雨が降ってきて、エリーが車に乗せてくれる。エリーの車にはプラカードと赤ん坊が乗っていた。「まあ、可愛いちっちゃな坊やだこと」と言ったダフネに「小さいってことは認めるわ。でも可愛くもないし、坊やでもない。娘のローズよ」とエリー。そしたら「じゃあ。あなたはどうなの?」と反撃するダフネ。「ローズの母親なの? それとも父親なのかしら?」別れがたくカフェに行った二人は階級と信条を超えて打ち解けて話し合う。
パトリックとダフネはパトリックの大伯母の遺産である大きな薔薇園と果樹園のあるローズモントに住んでいる。パトリックは会計士だが、薔薇に魅入られているちょっと変わった男である。ダフネとの結婚が早すぎると言ったダフネの父親は事故で亡くなっているし、会社では上役が変死して彼がその地位を獲得した。
ダルジールは会議のためロンドンへ行く。ウィールド部長刑事はまだ伴侶と巡り会っていなくて、インド系見習い警官のシンに惹かれる自分の感情を抑えるためによけいに無愛想になる。(嵯峨静江訳 ハヤカワポケットミステリ 1500円+税)