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ヨークシャーの少年たち ウィリアム・メイン「砂」

sand.jpg70年代に児童文学が好きになってたくさん読んだ。旭屋の児童文学書の売り場へ行ってはなにかないかと探したものだ。いちばんのヒットは「ホビットの冒険」だ。自営業になるとき、この本の主人公〈ビルボ〉の名前をもらった。
80年代後半に縁あってイギリス児童文学研究会「ホビットの会」に入った。数年間毎月または何カ月かかけて一人の作家の全翻訳作品を読んで話し合うというきついことを続けた。入ったときは10年経っていた会なので、たくさんの作家が終わっていたわけだけど。それだけ訳書が出ていたんだからすごいなぁと思う。
ウィリアム・メインの「砂」(1964)は、好きで読んでいた時代に読んだ。他の作品も読んだのだけど、内容を忘れている。「りんご園のある土地」が好きだった。素敵な絵本「パッチワークキャット」の文章を書いている人なんだよね。

なぜいま「砂」かというと、相方のブログを読んでいたら「砂」のことが書いてあったのね。【イギリス、ヨークシャー州の海岸沿いの小さな町が舞台】とある。あれま、ヨークシャーだって。レジナルド・ヒルやんか。しかも「薔薇は死を夢見る」と「武器と女たち」に出てくる別荘は北海に面した海岸にある。
というわけであわてて読み出した。そうやったと何十年も経っているのによく覚えていた。北海に面した小さな町に住む少年エインズリーは姉のアリスと仲が悪い。姉は優等生型で弟はやんちゃ坊主である。アリスがエインズリーにぼろくそ言っても母は優しい。
一家四人で日曜日に教会へ行くが、砂が海風に運ばれていてその教会は埋没しそうである。町全体があと何十年かしたら砂に埋もれるだろうと言われている。
レジナルド・ヒルの作品でも、海岸の別荘を買うとき、海がどんどん迫ってきているが、まあ何十年くらいは大丈夫でしょうと言われて格安で買うのだ。

エインズリーと仲間たちは海岸で大きなワニと思われる骨を掘り出し、苦労の末に廃車になっていたトロッコを使って町へ運ぶ。細かい描写で発見から運ぶところまで飽きずに読ませる。海と砂と少年たちと寒さとたき火と。ようやく女学校の校庭に夜のうちに運び込む。専門家が見ると。その骨はワニの化石ではなく100年くらい前のマッコウクジラなのだった。
愉快な事件ということで新聞とテレビの取材を受け、彼らは校長先生の叱責を逃れることができた。目的の女学生たちとも話をしたいというのもかなえられた。(林克己訳 岩波少年文庫)

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2008年01月22日 01:00に投稿されたエントリーのページです。

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