« ドロシー・L・セイヤーズ 長編小説第1作目の「誰の死体?」を語ろう | メイン | 寒中見舞いを書いて、部屋の整理もして »

エステルハージ・ペーテル「黄金のブダペスト」

黄金のブダペスト エステルハージ・ペーテルウィーンとベルリンをテーマに編集されたミステリーを読んで、ミステリアスなヨーロッパの都市とそこに住む人たちの魅力をを少しだけ味わった。図書館で他の都市のものを読みたいと思って見つけたのが2000年に翻訳されたエステルハージ・ペーテル「黄金のブダペスト」、ブダペストの街やドナウ川の写真に飾られた美しい本である。
ペーテルが名前でエステルハージが苗字かな。ハンガリーは名前が先で苗字が後にくるのかな。たしかバルトークもそうでバルトーク・ベラだった。検索したら、「ヨーロッパ風にベラ・バルトークやベーラ・バルトークと表記されることもある」とあった。

ブダペストを〈ブタペスト〉と思っていた子どものころ、なんの本か映画かで知ったか覚えていないけど、エキゾチックな街だと思っていた。社会主義国になってからのハンガリーについて、なにかの学習会で大学の先生に質問したことがある。東欧のことはわからないというのが返事だった。いま考えたらそこらの女の子に一口で語れるものじゃないよね。それだけのことで忘れてしまっていたけど。

本書はブダペストについてのエステルハージ・ペーテルの作品が集められている。読む前にネットでヨーロッパ、ハンガリー、ブダペストと順番に地図を見ていった。それを頭に入れて読んだのですごくおもしろかった。
最初の「見えない都市」にこれ以上ないブダペストへの賛辞がある。全部を引用したいほどだけど一節だけ。
【底意地の悪いブダペストがございます。快楽に淫しているブダペストがございます。権力欲まるだしのブダペスト、お調子者のブダペスト、深刻ぶったブダペスト、深遠なブダペスト、機知縦横のブダペスト、くそったれのブダペスト、嘘つきのブダペスト、卑劣なブダペスト、紳士のブダペスト、形のないブダペスト(プラスチック)、三文文士と経済学者の都市、極度の傲慢と極度の卑屈からなる都市・・・】
こう書ける作家の幸せというものを感じる。
彼の作品はハンガリーでも難解と言われているそうである。ここに集められた作品たちはブダペストについてのものだからなんとか追いついて読んだ。

訳者あとがきによるとエステルハージ・ペーテルは1950年生まれ、翌年6月、一家は「人民の敵」として強制居住地に移住させられた。彼の一族は十七世紀前半に副王としてハンガリー史に登場する大土地所有の大貴族だった。中央ヨーロッパの名門貴族の家系である。社会主義体制崩壊後に、エステルハージ・ペーテルにも土地返還の申し出があったが断ったそうだ。(ハンガリー文芸クラブ編/訳 未知谷 2000円+税)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dp31082594.lolipop.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1272

About

2008年01月24日 00:09に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「ドロシー・L・セイヤーズ 長編小説第1作目の「誰の死体?」を語ろう」です。

次の投稿は「寒中見舞いを書いて、部屋の整理もして」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。