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エレナー・エスティス作 ルイス・スロボドキン絵「百まいのドレス」

百まいのドレス先日読んだ「スーザンのかくれんぼ」はルイス・スロボドキンの絵本だった。お話も絵もとてもほのぼのとしていて楽しかった。彼女の描いた柔らかいタッチの表紙や挿絵に飾られた「百まいのドレス」は、貧しいポーランド移民の娘と、同じ学校で学ぶ少女たちのお話である。お話と絵がとてもみごとに調和した魅力ある本だ。

ワンダ・ペトロンスキーという変わった名前の少女は、人が行きたがらない貧しい地域に住み、貧しい身なりで学校へくる。ひとりぼっちのワンダが校庭で遊ぶ子どもたちを眺めていると、少女たちはワンダを取り囲む。まずペギーが「ワンダ、ちょっとお聞きしますけど、あなた、戸だなのなかに、ドレスを何まい、お持ちなんでしたっけ?」と聞くとワンダは「百まい」と答える。絹のもビロードのもあたしの戸だなのなかに並んでいると質問に答え続ける。
ペギーと仲良しのマデラインの家は貧しくて、人からもらった服をお母さんがうまく直したのを着ている。マデラインはペギーがワンダをからかったことで、ワンダの存在が気がかりになる。マデラインはペギーにワンダをからかうのをやめてと手紙を書き出したがこわくなって捨てる。自分もペギーのおさがりを着ているのをからかわれたら困る。ペギーはクラスでいちばんみんなに好かれている子なんだから。
デザイン画のコンクールがあって、優勝者が発表される日、教室にはたくさんの素晴らしいドレスの絵が百まい並んでいた。ワンダの百まいのドレスの絵。ワンダが持っていると言ったドレスはこれだったのだ。
その日、父親からワンダは転校するという手紙が先生にとどく。受賞をしたことを知らずにいなくなったワンダ。マデラインとペギーはワンダに手紙を書く。

差別する子どもたちがいて、差別に気がついても動けない子どもがいて、差別される子どもがいる。そういうことに真っ向から立ち向かって書いてある本である。
本書は2006年に出版されたが、1954年に岩波書店から絵本シリーズの一冊として出版されたものの再販である。戦後民主主義の高らかな気分を感じる。こんな本を買ってもらった子どももいるんだなぁ。

わたしが子どもだったころ、東京から大阪、山梨、また大阪と小学校を転校したため、関東と関西と二つの文化に挟まれて苦労した。本書と同じようにいじめる子、いじめるほうに立たざるを得ない子がいた。わたしの逃げ場は読書と着せ替え人形だった。本は空想に誘ってくれたし、手書きの着せ替え人形は、まったく本書のワンダのように百まいのドレスなのであった。ただ、わたしの絵がヘタクソだったために、才能を見せるところまでいかなかったが(笑)。(石井桃子訳 岩波書店 1600円+税)

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2008年02月05日 00:33に投稿されたエントリーのページです。

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