去年読んだ「17歳のための世界と日本の見方」の続編〈近現代篇〉として書かれた本である。前編は帝塚山学園大学での講義を元にしていたが、今回は出版社が話の聴き手を用意したとある。難しい内容の話なんだけど、ときどき冗談を言ったり、話し言葉だからすっと頭に入ってくる。
最初の章はコーヒーや紅茶から入って資本主義のシステムについて説明がある。そして「みんな」と「みんなの国家」と話がすすみ、「ネーションステート」(戦争ができる国民国家)の話となる。それが導入部で章が変わり「世界のなかの信長・秀吉・家康」と話をすすめる。エリザベス女王は信長より一歳年上と、日本の話をするときも同時代の世界の出来事や人を語るので、世界のなかの日本の位置がわかる。そして信長の前にイギリスとフランスの関係、そしてイギリス国教会の誕生、カトリックVsプロテスタントとすすむ。
第七講になると、マルクス・エンゲルスの「共産党宣言」。同じ年にエミリー・ブロンテの「嵐が丘」が話題になった。日本はペリー来航の直前だった。この章では「弁証法的唯物史観」について詳しい説明がある。そしてダーウィン「種の起原」。次はカフカとフロイト、実存主義。二つの世界戦争があって、第十講は「資本と大衆の時代」となる。ずっと日本の歴史が世界の歴史と連動して語られている。
最後がおもしろかった。「17歳のための世界と日本の見方」の最後も日本人の美意識について語っていて、わたしへの応援歌だと笑ったのだが、今回もそう。
【庭がなければ、玄関の前に小さな小鉢の植木をいろいろ組み合わせるとか、そういう単位にいるのですから】まさにわが家だからおかしい。また【「只の非凡」じゃなきゃいけないんです。そのままであることを非凡にするべきなんです。】また【モンテーニュが言うような「自分を質に入れない勇気」です。】
とてもたくさんの知識と勇気をもらった。(春秋社1800円+税)