
最初はハリウッド警察に勤務する警察官たちが入れ替わり出てきてとっつきにくかったが、読み出したらだんだんわかってきて楽しめた。もうすぐ勤続50年になる警邏巡査部長ジ・オラクル(神託)のうわさ話から始まって、最後も彼で締めくくられる構成になっている。
二人組で街をパトロールする個性豊かな警官たち。そしてヤク中毒のカップルや犯罪者たちが事件を起こしたり、起こそうとして呼び止められたりする。女性警官と組まされてくさっている警官もいる。
女性警官がきちんと描かれているのが気持ちよい。
バッシーは相棒にだけ打ち明けて他言せぬように言ってトイレで搾乳する。
アンディは別れた夫との間にできた子どもが18歳で陸軍に入りアフガンにいるのが気がかりだ。仕事が終わったところに、誰もいないのでと虐待されていた少年の取り調べを頼まれる。少年は彼の虐待者がフレズノで起こした殺人事件のことを打ち明ける。
バッジーとマグが娼婦の格好をして街に出て囮捜査をする。二人は張り切って事に当たるが、マグはぽん引きに殴られ大けがをする。
いろんなエピソードが小気味良く積み重なっていく。ハリウッドらしい人物も出てくる。メタンフェタミン中毒のカップルが転落していく過程で、人の良い女の子は猫を介して近所の高年の女性と出会う。
最後は哀しさとほっとした気持ちを味合わせてくれる練達の筆です。
ハリウッドならではの大通りをパトロールするネイトは、クラーク・ゲイブルとキャロル・ロンバートの姿を想像し、その次にはスペンサー・トレーシーとオードリー・ヘップバーンの姿を想像するとあった(275ページ)。これはオードリーではなくキャサリン・ヘップバーンでしょう。(小林宏明訳 ハヤカワ・ミステリ1500円+税)