古書店主でゲイのディッグウィード(三十年前に若手弁護士だった彼は、ブライトンのホテルで変態と呼ばれる行為をしているのを見つかり重い罰金刑になったという経歴がある)が親しくなったウィールドに、警察が所有している駐在小屋がこれから駐在なしになるので、売りに出されるだろうから、その小屋をいっしょに買おうと言う。考えておいてくれと言って立ち去るのだが、そのすぐ後に事件があり、二人とももしかして死んだと思える状況から脱したとき、ウィールドの気持ちが決まる。ウィールドはそれまで自ら孤独な生き方を選んできたが、ここでディッグウィードと暮らす人生を選ぶ。最初は反目し合い、軽蔑し合っていた二人がだんだん打ち解けていくところがいい。読んでいるこちらも幸せ。ウィールドが好きなので。
この他に、三組の男女カップルが生まれるという華やかな作品なのである。女性の名前だけ書き出すと、ガーリー、フラニー、キャディの三人。キャディの姉キーもそのうち加わりそう。
著者の註に「すべての章の見出しは、ジェーン・オースティンの手紙からとったものである」とあるので、物語を読み終えた後に一章ずつ読んでいった。そのどれもが真理を含んだものばかりで、また物語の章はその言葉に対応しているのがすごい。
もういっこ気に入った箇所。パスコーがパブの亭主から話を聞くのだが、大地主の家族は四人で、当主と孫娘ガーリー、当主の弟の孫息子ガイ、若いフラニー、貧乏な親戚のとなる。パスコーが聞き返すと、【「富豪の家には、必ず貧乏な親戚が必要なんですよ。自分たちがどんなに羽振りよくやってるか思い出すために・・・」】と答える。
これってほんまやわ。わたしの兄弟姉妹でうちだけが貧乏だが、一家に必要とされていると感じるときがある(笑)。