エリック・ロメールの「冬物語」(1991)を去年の夏に見て、久しぶりだと書いている。一時あんなに凝っていたのに、そして「冬物語」を見たらまた見たくなったのにそのままだった。
今夜「緑の光線」(1986)をビデオで見て、エリック・ロメールはやっぱりええやんと思った。この映画はロメールの中でも特に好きだし。
最初に見たのが「海辺のポーリーヌ」(1983)だった。評判を聞いていたので期待したのだが、えっ!という感じがしたのをよく覚えている。こんなんでええのかって感じ(笑)。もう一度見て確かめたい。
デルフィーヌ(マリー・リヴィエール)はパリで一人暮らしをしている女性。秘書をしていて夏休みが2週間ある。ギリシャに友だちと行くはずだったのにキャンセルされ、一人でどうしようと言うと、友人や家族からいっしょにバカンスに行こうと誘われる。友人と行ったシェルブールではみんな親切にしてくれるのに、食事中に肉を食べない理由を話し続けて場をしらけさせる。
早々にパリに帰って公園を散歩していると、見知らぬ男がついてくるのを振り切る。知り合いに会うと海辺に空いている家があるからと使わせてくれることになる。その海辺でスウェーデンからきた女性と親しくなるが、開放的な彼女に引っぱりまわされる。行きずりの男二人とどこかへ行く話になると、走って帰ってしまう。
海辺を歩いていると高年の文学愛好者たちが、ジュール・ベルヌの「緑の光線」の話をしている。実際に太陽が地平線に沈むときに放つ緑の光線があり、いままでに何度か見たことがあるという。
海辺からも引き上げようとして駅に座って本を読んでいると、イケメンの青年が側へ来て「白痴」ですねと言う。バカンスに行くのに「白痴」を持って行くんやからやっぱり変わり者やわ。この映画ではじめて彼女のほうから男を誘って海辺へ行く。彼と並んで座って沈む太陽を見ていると緑の光線が見えた。
デルフィーヌはよく泣くし愛想は悪いし場をわきまえないし困った人なんだけど、憎めなくていい人が現れてくれへんかなと思っていたら、最後に出てきてほっとした。それも実直そうな青年である。家具職人の見習いをしていて、休暇は二日でどこやらへ行くと言う。いっしょいに行くことになって、見ているこちらはほっとした(笑)。とても楽しい映画だ。