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森まゆみ「その日暮らし」

その日暮らし森まゆみさんの本を読むのははじめてである。ずいぶん前から書評や雑誌のコラムなどを読んでいて信頼できる人だと思っていた。先日、本屋でほのぼのした表紙を見かけて、姉に買っていくことにした。その前に拾い読みしようと思ったのだが、読みかけたら手放せなくなって全部読み終えた。

森さんは地域雑誌「谷中・根津・千駄木」の編集人として有名であり、たくさんの著書がある。離婚して子ども3人とお寺の境内にある家に住む生活が書かれているが、本書ではそこからマンションに引っ越す。
「家は狭いけど心は広かった」という章で、【路地の調査をしたとき、“人情”とは非歴史的なものではなく、地方から出てきた根なし草同士、助け合い融通しあわなれれば、生きていけないという、すなわち“貧しさ”こそが根底にあると学んだ。いきが意地と媚態とあきらめのブレンドならば、人情は、貧しさと孤独とええかっこしい(あるいは他人の境遇への察し)で成り立っている。】とあって、鋭い!と思った。

全体に江戸っ子な感じがするはっきりとした物言いで、こんなこと言うても大丈夫かと思ったところもある。だけどこの歯に衣着せない物言いだからこそ、読者に愛され信頼されて本は売れているのだろう。
文学少女が大人になった感じもあり、「小公女」への共感があるのに笑った。少年少女や恋人たちが海岸にいる風景を【いいなあ、石坂洋次郎してる。】と書いているところがあり、これがわかるのは何歳くらいから上かとおかしかった。

「あとがき」によると「その日暮らし」とは、未来のために現在を犠牲にしない生活をさす、とある。(集英社文庫 476円+税)

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2008年04月30日 01:00に投稿されたエントリーのページです。

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