大人の女なんていうと女性誌みたいだけど、イザベル・ダルハウジーは40代前半の魅力溢れる大人の女だ。仕事は哲学雑誌〈応用倫理学レビュー〉の編集仕事を在宅でやっている。スコットランド人の父親とアメリカ人の母親はもういない。アイルランド人の男性と結婚してアメリカに住んでいたが離婚して帰国した。父親の遺した家に住み母親の遺した株のおかげでお金が振り込まれてくる。名前を出さないであちこちに寄付をしているが、匿名故にケチな人のように陰口をたたかれている。
デリカテッセンを営む姪のキャットとはお互いに理解しあっている仲だ。キャットがふった相手のジェイミーはいまもキャットに未練があって、イザベルとのつき合いを絶やさないようにしている。イザベルはジェイミーと食事したりしながら、自分自身がジェイミーに惹かれているのを感じている。
関わってしまった事件の話をジェイミーにすると、そこまで入り込むなとか、その件はイザベルの考え違いだなどと指摘したりする。イザベルの思い込みからくる行動をとめるところがおもしろい。
家もお金もあり高級な仕事もあり、なに不自由ない暮らしをしているイザベルに読者は(特にわたしは-笑)反発しそうだけど、いつのまにか共感してしまうのは、滑稽なほどいっしょけんめいな姿勢のせいだろう。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 940円+税)