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ミステリー評論その他 アーカイブ

2005年10月04日

久美沙織「ヒロインで読むミステリー」

ヒロインで読むミステリー 久美 沙織久美沙織さんとはミクシィのコミュニティ「マイクル・コナリー」で知り合った。お名前は知っていて雑誌でなにか読んだ覚えはあるが、著作を読んだことがなかった。コバルト選書で有名な作家だとは他の方がコメントに書いてくれるまで全然知らなかった。久美さんすみません。
個人メールでヴィクのことなんかをちょこっと話し合ったんだけど、そのとき本書の話が出た。どんなことが書いてあるか興味がわいて、さっそくアマゾンにあったので注文した。6年前(1999)に出た本である。第1部が「魂に触れる12人のヒロインたち」、第2部が「ヒロインたちと遊ぶミステリーの脇道」となっている。わたしはここで取り上げている本の半分くらいしか読んでいない。女性探偵でもあまりにも有名なヴィクやキンジーやシャロン・マコーンは取り上げてないのが残念。コージーなのが多くて、わたしの好きな社会派みたいな人たちが少ない。
でも大好きな「凍てついた夜」がトップにあるのがうれしく、渋い「ロック・ビート・マンチェスター」があるのもうれしい。ライア・マテラの短編は読んだのだけど忘れてる、探さなくちゃ。全体に話し言葉調で読みやすく、読んだ人は元気をもらえるだろう。
タイトルに“ヒロイン”という言葉を使ったことについて、あとがきで長々とふれているが、むずかしいよね。わたしはヴィクや女性探偵たちには“ヒロイン”よりも“ヒーロー”がふさわしいと思って、だいぶ昔のことだけど、毎日新聞に頼まれて女性探偵について書いたときは“ヒーロー”と表現した。そのときは、アメリカではこれが当たり前だし自分も賛成だと注釈をつけて担当者に理解してもらった。ヴィクがヒロインなんておかしいもんね。
おまけは「特性チリコンカルネ」の作り方(ナンシー・ピカード「特性チリコンカルネの殺人」から)である。さっそく野菜スープをチリスープにしてみようと、今日チリパウダーを買ってきた。(河出書房新社 1200円+税)

2006年01月29日

「ミステリマガジン」3月号は厚くて重くて

最近はわりと「ミステリマガジン」を買っている。長いこと本屋に配達してもらったりしていたが、数年前から金欠病でもあり、読みたい記事があるときに買うようになった。そしたら買い忘れて、いつの間にか買わなくなった。これはいかん、やっぱり雑誌の情報がいるなと思って気にすることにしたら、けっこう毎月買っている。
昨日買った3月号は本屋で見てびっくりした。厚くて重くて値段は2,199円である。しばし考えてから買った。木村二郎さん訳のハメット「蠅取り紙」があるし、わりと好きでけっこう読んでいるアントニイ・バークリー「不健全な死体」がある。その他では野崎六助さんの連載が好きだし、中辻理夫さんのブックレビューを読むのが楽しみ。いつだったか本格ミステリを読んだとき、森英俊さんの解説が好きになった。今回は「本格ミステリという名の花園」というのがあって、ドロシー・L・セイヤーズの大きめの写真がある。これも楽しみだ。あっは、けっこう読むところがあるやん。読む気が起こらないのは「私のベスト3」。

2006年03月26日

イギリスの短編小説

昨日はジュンク堂へ行ったのに買おうと思ってる本が見当たらなくて、まぁいいかと「ミステリマガジン」5月号だけを買った。この2月に93歳で亡くなった、イギリスミステリ界の最長老マイクル・ギルバート追悼特集号である。読んだ覚えがないので、どうしようかと迷ったが、立ち読みしたらおもしろそう。野崎六助さんの連載記事も気になってる。
帰ってから本棚を見たら特大の3月号をまだ少ししか読んでないし、4月号もイアン・ランキンとレジナルド・ヒルの短編と連載を少ししか読んでいない。せっかく買ったのに読まなくてはもったいないね。
イアン・ランキン「誰を殺させばいいのか教えろ」は、リーバス警部もので、彼が土曜日の夕方オックスフォードバーから出て歩いて帰る途中で救急車を見る。バスが人身事故を起こしたのだ。自分の出る幕でないと車道を横断しようとして携帯電話を拾う。画面を見ると文字があった。「誰を殺させばいいのか教えろ」、これでは黙って帰れない。リーバスは行動を起こす。
レジナルド・ヒル「犬のゲーム」は、パスコー主任警部が犬の散歩の途中、折り返し点にあるパブに入るのが日課のようになり、犬の愛好家たちと親しくなる。彼らの一人の家が火事になり愛好家の女房の母親が焼け死ぬ。ダルジール警視も少し出てくる。
マイクル・ギルバートの短編は大人の小説という感じ。数編あるので読むのが楽しみ。

2006年07月19日

ミステリーの「オールタイムベストテン」を聞かれて

わたしは「○○バトン」とか「○○のベスト3」とかの質問はあんまり好きでないので、いつも断っているのだけれど、会報締め切り直前の原稿の中でMさんに聞かれたので、即決で以下の返事をした。〈「わたしのオールタイムベストテン」思いついたままに〉というタイトルで、10位まで書いたけど、まずは5位までを発表。

1.サラ・パレツキー「サマータイム・ブルース」(V・I・ウォーショースキー シリーズ)
2.ドロシー・L・セイヤーズ「学寮祭の夜」(ピーター・ウィムジイ卿 シリーズ)
3.クレイグ・ライス「スイートホーム殺人事件」(及びシカゴの3人組 シリーズ)
4.ダシール・ハメット「ガラスの鍵」その他
5.マイクル・コリンズ「黒い風に向かって歩け」(ダン・フォーチューン シリーズ)

やっぱりサラ・パレツキーがトップ。作者・サラ・パレツキー、訳者・山本やよい、そして主人公のヴィクとわたしら読者は同時代をいっしょに走っている。どの作品も読者の期待を裏切ってないし、いつも新しい作品がいちばん良い。
ドロシー・L・セイヤーズは、はじめてフェミニズムという考え方を教えてくれた。そして探偵のロマンチックな恋とその成就がいつまでも乙女心を揺さぶる。
クレイグ・ライスの「スイートホーム殺人事件」は、戦後の貧しい時期にアメリカの子どもの主体的な生き方を教えてくれた。さらにシカゴの3人組はチャーミングでカッコいい。
ダシール・ハメットは、最初読んだときはチャンドラーのほうが好きだったが、後にほんとうのハードボイルド魂を読みとれるようになった。
マイクル・コリンズは、私立探偵の鑑のような精神性に惹かれる。ダン・フォンチューンの淡々とした、しかし決して諦めない姿勢を尊敬している。

2006年07月21日

ミステリー「オールタイムベストテン」続き

前回(19日)書いたベストテン1〜5は現在のベスト5であるがずっと変えないような気がする。
1〜5までは順番があったほうがいいけど、6〜10は5人のどれもがいろんなふうに好きなので、番号なしにする。

デイナ・スタベノウ「白い殺意」(ケイト・シュガック シリーズ)
マイクル・コナリー「暗く聖なる夜」(ヒエロニムス・ボッシュ シリーズ)
グレッグ・ルッカ「逸脱者」(アティカス・コーディアック シリーズ)
イアン・ランキン「黒と青」(ジョン・リーバス シリーズ)
マイケル・ナーヴァ「失われた故郷」(ヘンリー・リオス シリーズ)

デイナ・スタベノウのケイト・シュガックはアラスカの女性探偵である。他にも好きな女性探偵はいっぱいいて、誰をもってきてもいいような感じだが、寒い所で頑張っているので。
マイクル・コナリーのヒエロニムス(ハリー)・ボッシュ刑事は、好きだけれどセンチメンタルなところがちょっとかなわんと思うときあり。でも好き。
グレッグ・ルッカのボディーガード アティカス・コーディアックは、いま最も好きな一人。次の作品でどこまでいくのか楽しみ。
イアン・ランキンのジョン・リーバス警部は、最初訳されたのが脂の乗り切ったときので圧倒された。最近は少し疲れ気味のところが気になる。
マイケル・ナーヴァの弁護士ヘンリー・リオスは、一時惚れ込んでいた。翻訳が4冊まででさびしい。

2006年09月02日

「ミステリマガジン」10月号は読むところがたくさんあったよ

「ミステリマガジン」10月号はジョージ・P・ペレケーノスの特集で短編小説が3つあり、その他にブックガイド「ペレケーノス長編全解題」他がある。
わたしは長編小説「友と別れた冬」と「俺たちの日」しか読んでない。内容にちょっとつらいところがあって、気にはなっているのだがその後は読んでいなかった。ブックガイドを見るとたくさん翻訳されている。
で、短編小説を読むとそれぞれおもしろい。やっぱりつらいところはあるのだが、避けて通ってはいけないと思った。ぼちぼち長編小説を読んでいこう。
それと、ドナルド・E・ウェストレイクの短編「真夏の日の夢」がおもしろかった。〈無期限にニューヨークを離れることが望ましい事態になった〉ドートマンダーとケルプはケルプの従兄弟の田舎の納屋にいる。ここでは夏期劇場という納屋を改造した納屋にそっくりな劇場で「真夏の夜の夢」が上演されている。そのさなかに入場料金が紛失し、なんとドートマンダーが疑われる。泥棒のドートマンダーであってもここでは無実の罪なのだ。どんでん返しがおもしろい夏向きの一編である。
それと、誌上討論「現代本格の行方」8回目の今月は、千野帽子(俳人・文筆業)の「少年探偵団 is dead. 赤毛のアン is dead.」で、とてもおもしろく読んだ。

2007年05月05日

いまイギリスのミステリーがおもしろい

ミクシィの「女性私立探偵たち」コミュで紹介された本を読んでいる。アレグサンダー・マコール・スミス「No.1 レディーズ探偵社、本日開業」(ヴィレッジブックス)からはじまる、アフリカはボツワナの女性探偵マ・ラモツエのシリーズである。読みたいとコメントを書いたら、Rさんが親切にも翻訳がでている3冊を送ってくださった。ミクシィありがたや。
読み終わったら1冊ずつ感想を書くけど、とっても楽しい読書である。著者はジンバブエ生まれのスコットランド人だ。それでふと最近イギリス人が書いた本がおもしろいと気がついた。ローマの警察ものを書いているデヴィット・ヒューソン(「死者の季節」「生贄たちの狂宴」ランダムハウス講談社)もイギリス人だし、少し前に出たケン・ブルーウン(「酔いどれに悪人なし」「酔いど故郷にかえる」ハヤカワ文庫)はアイルランド人だ。ピーター・トレメインの修道女フィデルマのシリーズ(創元推理文庫)は7世紀アイルランドの物語である。先日図書館で借りて同じ作者の「アイルランド幻想」(光文社文庫)をぼちぼち読んでいるが、怪奇幻想というかなかなかおもしろい。
先日読んだアメリカの女性作家ミーガン・アボット「さよならを言うことは」と少し前に読んだローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」(両方ともハヤカワポケットミステリ)に余裕とユーモアを感じなかったので、いまの読書がたのしくてしかたがない。

2008年02月29日

女性探偵華やかなりしころ

ミクシィでわたしが管理人をしている「私立女性探偵たち」コミュニティのトップページには、参加メンバーの手によってたくさんの女性探偵や女性警官の名前が並んでいる。そこを見て読書する人もいて、最近ナンシー・ベイカー・ジェイコブスの「楔の青」と「復讐の赤」を読んだとコメントがあった。実はわたしが推薦したのだけれど、良かったというだけで内容を忘れている。2冊とも1994年の発行だからずいぶん日にちが経っていると言い訳しているが、ほんまに忘れるもんやなぁ。子どものときに読んだほうが覚えているような気がするが、それは何度も反芻しているからだろう。
それでいま「楔の青」を再読しているが、ところどころしか覚えていない。このころは翻訳の女性探偵ものが大流行りだった。うしろのページにある広告を見ても、サラ・パレツキーとスー・グラフトンとリリアン・J・ブラウンは各5冊の他、ナンシー・ピカードやアネット・ルーム、リンダ・バーンズがある。
このブログに先立つヴィク・ファン・クラブサイトにある日記を書き出したのは1998年9月だから、そろそろ10年になるのだけれど、女性探偵隆盛の時代は過ぎていたようで、取り上げているのは少ないと思う。思い立って読みかけたときもあるのだが、挫折しているのでこれを機会にぼちぼち読み返えそう。いまある本だけでも大変なのにできるかな?

2009年01月16日

ベスト10よりも、好きな本

「海外ミステリ通信」というメールマガジンを送ってもらっている。早川書房と東京創元社のメルマガを読むくらいで、ミステリ情報に疎いのでとても貴重な情報源である。
今月は「2008フーダニット・ベスト9」というのがあったので読んでみたら、今年はわたしが読んだ本が4冊も入っていた。

1位「チャイルド44 上・下」トム・ロブ・スミス
2位「冬そして夜」S・J・ローザン
4位「女たちの真実」ローラ・リップマン
6位「ルイザと女相続人の謎」アンナ・マクリーン
1位以外は女性作家だ。みんな当ブログに感想書いてます。

ここから下は読んでない。
3位「フロスト気質 上・下」R・D・ウィングフィールド
4位「報いの街よ、暁に眠れ」マイケル・ハーヴェイ
6位「死は見る者の目に宿る」デイヴィッド・エリス
6位「荒野のホームズ」スティーヴ・ホッケンスミス
9位「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」ギルバート・アデア
9位「聞いてないとは言わせない」ジェイムズ・リーズナー

やっぱり読んでない本が多かったなぁ。
「報いの街よ、暁に眠れ」(中西和美訳 ヴィレッジブックス)は、シカゴの探偵でアイルランド系でわけありだって。即買いやな。
「荒野のホームズ」(日暮雅通訳 ハヤカワ・ミステリ)は、翻訳者の日暮さんに去年5月にお目にかかったのを思い出した。

2009年01月24日

「ミステリマガジン」3月号は読むところがたくさん

ミステリマガジン 2009年 03月号 [雑誌]今週は水曜日の夜に出かけた以外は静かに在宅生活だった。今日は天気予報でさんざんお出かけは温かくしてと聞いていたが、夕方から外に出たらほんまに寒かった。
梅田に出て阪神百貨店のポールでパンを買い、北新地を通ってジュンク堂へ行き文庫本と雑誌を立ち読みした。買ったのはサラ・パレツキーのエッセイの連載第1回が出ている「ミステリマガジン」3月号。25日が発売日なのでどうかと思ったがあってよかった。

シャーロック・ホームズでUさんとおしゃべり。久しぶりなのでその間のいろいろを話し合った。ミクシィとメールでやりとりしているが、顔を合わせてしゃべるのはまた格別である。

今日の読書は「ブラッディ・カンザス」から離れてリンダ・フェアスタインの「焦熱」と電車内ではポール・ドハティ「神の家の災い」。
久しぶりに買った「ミステリマガジン」に読むところがたくさんあってありがたい。エドワード・D・ホックのニック・ヴェルヴェットもの短編がある。儲かった(笑)。
まだ未読の本があるって気持ちが豊かになる。

2009年12月19日

父の執念、探偵小説の疎開

わたしはきょうだいの下のほうだから、父母の家族のことなどほとんど知らない。知らないということも意識していなかったが、義兄の発病以来、長女長男と話す機会ができて、聞いてはびっくりである。

父母と次姉と長男は大阪大空襲のとき死にもの狂いで逃げて助かった。その後は勤め先のある豊中市に住んで、わたしもそこで育った。戦中ずっと父は西区から自転車で豊中市の南のはずれまで淀川を越えて神崎川を超えて通勤していたそうだ。その当時の自転車で、その当時の道を考えると大変だったと思う。

そしてなんでその話題になったかというと、探偵小説が家にたくさんあったという話からの発展だった。父はいずれくる空襲を予想して、毎日自転車に探偵小説を積んで会社へ行き、会社の倉庫の片隅に本を積んで油紙をかけておいたそうだ。その執念のお陰で、家は焼けたが本は助かり、きょうだいはそれぞれミステリファンになった。
おとといの二七日のあとの食事中にも、クロフツ「樽」、ミルン「赤色館の秘密」、ベントリー「トレント最後の事件」など話題が尽きなかった。
わたしが子どものとき読んだ本は、焼け出されたあとに古本屋で買った本でなく、父が毎日自転車で運んだ貴重な本だったのだ。

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