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デイヴィッド・ウィーズナー アーカイブ

2008年09月24日

デイヴィッド・ウィーズナー「3びきのぶたたち」におどろいた

3びきのぶたたちデイヴィッド・ウィーズナーは1956年アメリカニュージャージー生まれ。1992年には日本でも「しりたがりのふくろうぼうや」が評論社から出ているのだが全然知らなかった。その後も数冊あるのだけれど、今回はじめて彼の本を開いてすごいなぁと言っている。

「3びきのこぶた」は子どものときに読んだ教訓的なお話だ。「3びきのぶたたち」の表紙の3匹のぶたは頭が良さそうで胸に一物ある感じ。毛並みとかものすごく精密な筆遣いである。お話しどおりにオオカミがわらの家にくるのだが、食べられる前にうまく逃げる。そのお話が絵本にあって、オオカミから逃げて絵本からも解放されるのがおかしい。絵本を解体して紙飛行機をつくり飛んでいくのがシュール。飛行機がへたって落下、ここはどこだ状態になり、野原のほうへ行くとそこはマザーグースの絵本世界で、猫がバイオリンを弾き雌牛が月を飛び越え、お皿とスプーンが駆け落ちしている。こりゃ逃げようと出て行くと猫がついてくる。次も絵本で大きな竜が金でできたバラの花を守っている。もう一波乱あったあと、竜と猫と3びきのぶたたちが和んでいるシーンで終わり。

ステキな絵本で見飽きない。ぶたたちも可愛いし、バイオリンを持った猫がしたり顔でどこへでもついていくところが可愛い。(江國香織訳 BL出版 1600円+税)

2008年09月25日

デイヴィッド・ウィーズナー「セクター7」

セクター7「ある日、少年は課外授業でエンパイア・ステートビルを訪れた。・・・」と表紙カバーの折り返しに書かれている。それ以外は説明文なし会話もなしのSFぽい絵本だ。

夏の雲を見ていると入道雲が盛り上がっていき、なにかの姿を連想することがあるよね。いまごろの空をはいたような雲もステキで、サガンチックに「素晴らしい雲」とつぶやいてみたりする。そういうひと向きの絵本だ。

上空に雲がかかっている日、エンパイア・ステートビルを訪れた少年たちは、エレベーターから飛び出し階段を駆け上がる。まだ通路だというのに靄の中にいるようだ。雪だるまのような雲の塊がひとりの少年の赤い帽子をとって自分がかぶる。そして少年を乗せて空中を飛んで行く。着いた先が「7 S E C T O R 7」と大きな文字で示された建物。他の雲といっしょに大きなラッパに吸い込まれて行った先は、なんと雲の製造工場だった。従業員たちは図面を見ながら雲を製造していく。少年は奇妙な魚やクラゲの図面を描いて渡すと奇怪な雲がどんどんできあがっていく。
少年の絵の雲がニューヨークのビル群のすぐ上や横にいっぱい漂う。窓際の猫たちはガラス越しに見える雲の魚にたまげている。

雲製造工場は雲の素をラッパで吸い込んで雲を製造し、地下(空中に浮かんでいるけど)から扇風機でもくもくと排出している。雲ってそういう想像を誘うよね。それを絵にしてあるのだからすごいです。(BL出版 1600円+税)

2008年10月05日

デイヴィッド・ウィーズナーを知った絵本「大あらし」

本書はだいぶ前に洋書で見たことがあった。図書館の本なので忘れていたけどすっごく気に入っていた。いま翻訳本を見ながらこれだったと思い出している。

あらしがくるという日、兄弟は猫がいないので心配している。外を見てまわったが見当たらない。すでに風雨が強まってきている。お父さんが食料を買って帰ってきた。ドアのガラスには補強のテープを貼った。そこへ猫がずぶぬれで帰ってきた。猫を毛布にくるんで外を見ていると停電したので、暖炉の前に両親と兄弟と猫が集まった。非常用ランプを持って猫といっしょにベッドに入ると外は大荒れ。
翌朝、大きな木が倒れている。ここがとってもステキなシーンなのだけれど、兄弟はその大木をジャングルの真ん中と想定して遊ぶ。午後は木を船として七つの海を航海する。次の日とその次の日は宇宙船である。それぞれの想像場面が素晴らしい。
ある朝、木は切られて運び出される。「すごい木だったな」「うん、すごい木だった」
二人は生き残ったにれの木の下に座っている。冒険中もいまも猫はそばにいる。

兄弟が可愛くて猫が賢そうで両親はやかましくない。猫の本としてもおすすめだ。(江國香織訳 ブックローン出版 1500円)

2008年10月06日

デイヴィッド・ウィーズナー「フリー フォール」

いままで読んできたデイヴィッド・ウィーズナーの絵本を整理すると、「フリー フォール」(1988)「大あらし」(1990)「セクター7」(1999)『3びきのぶたたち」(2001)となる。なんだ、新しいものから読んでいたんだ。翻訳されたもので未読本が7冊あるのでこれからの楽しみ。

「フリー フォール」の表紙はヤツデみたいな木の葉に乗ったパジャマ姿の少年が、海の上すれすれに飛んでいる。魚がうれしそうにまわりを飛びまわっている。淡い色紙がきれい。
大型の地図帳を抱いたまま眠っている少年が夢の中に入っていく。夢の風景がなんとも素晴らしい。冒険の末、危機一髪の場面で木の葉が白鳥に変身、背中に乗せて飛ぶ。海の上に浮かぶベッドでぐっすり眠っている少年を白鳥たちや魚たちが見守っている。
目が覚めると明るい朝、金魚鉢では金魚が元気、その下の棚には恐竜やチェスの駒が散乱している。窓枠には鳥が止まっている。ベルトが引っかけてあるベッドの支柱も夢の中で活躍してた。チェックの毛布がいろんなものになっていた。(江國香織訳 ブックローン出版 1400円)

2008年10月29日

デイヴィッド・ウィーズナー「おぞましいりゅう」

おぞましいりゅうさきに読んだウィーズナー作品の4册よりも古く1987年に発表された。もともとの物語は18世紀の民間伝承の物語詩からきており、民俗学者ジョゼフ・ジェイコブスが再話したものを元にしてウィーズナーと妻のキム・カーンが再話している。

バンバラ城というお城に王さまとお妃さまと、美しく賢く優しい息子のリチャードと娘のマーガレットが住んでいた。リチャードが見聞を広めるために旅立ち、お妃が亡くなり、王とマーガレットは二人で何年も静かに暮らしていた。ある日狩りに出た王は魔女に魔法をかけられ恋に落ちてしまう。
城にもどった王が娘を見つめるのを許せない新しい妃は、リチャードがおぞましい竜に三度キスしなければ姫は竜のまま、という呪いをかける。マーガレットは大きなおぞましい竜に変身させられてしまう。人々は偉大な魔法使いにどうしたらよいかを相談し、リチャードに帰るように伝える。

楚々としたマーガレット、雄々しいリチャード、おぞましい竜、偉大な魔法使いとその傍らにいる猫たち・・・マーガレットとリチャードがお城にもどり、持っているナナカマドの枝を一振りすると、魔女の妃はヒキガエルに変身してお城の階段をぴょんぴょんと降りていく。素晴らしく楽しい絵に見惚れる。(江國香織訳 BL出版 1600円+税)

2008年12月14日

デイヴィッド・ウィーズナー「TUESDAY」

Tuesday洋書なので著者名はDAVID WIESNER。図書館で借りたのだがカード用の袋がついている。コンピュータ管理以前の本だ。発行は1991年、ニューヨーク。
わたしは今年8月までウィーズナーの名前を知らなかった。だいぶ前に「大あらし」の洋書を借りたがそれきりだった。
8月から5冊の絵本の感想を書いてきたのだが、Aさんからカエルの本が入ってないのを「あちこちでつっこまれませんか?」とメールがきた。ええっ、カエルの本? なんやろ? でも突っ込みは他になかったなぁ。Aさんはウィーズナーはカエルの本だけで満足してるくらい好きなんだって。

ようやく図書館で見つけて、いま見入っているのだが、これはすごいわ。真夜中、カエルが蓮の葉に乗って飛んでいる。真っすぐ前を向いていると思ったら旋回しはじめた。空には満月。森の池から人里へ。左ページには〈11:21.P.M.〉と時間が書いてある。右側は台所のテーブルでパンとミルクの夜食を食べているお父さんが窓の外を見てびっくり。テレビを見ながら居眠りしているおばあさんの部屋に入り込んで浮かんでいる。猫もたじろぐ。あれま、舌でリモコンを操作してテレビを見ているわ。
明け方までいろいろあって、町には蓮の葉がいっぱい落ちていて刑事さんが考え込んでいる。警察犬もいるしパトカーが止まっている。テレビ局も来ている。
NEXT TUESDAYは豚が豚小屋から飛び出していく。
飛んでいる豚たちを見て、マザーグースの「めうしがつきをとびこえた」を思い出した。

2008年12月15日

デイヴィッド・ウィーズナー「FLOTSAM」

Flotsam (Caldecott Medal Book)図書館で借りてきたのは原書(DAVID WIESNER 2006 ニューヨーク)。文章が全然ない絵本だが翻訳はBL出版から「漂流物」となって出ているようだ。ウィーズナーの最新作だ。
砂浜で少年がシャベルを持ってなにか探している。小さなカニやエビを見つめているうちに波にさらわれそうになる。尻餅をついた目の前にヘンな箱のようなものが見つかる。友だちも集まってきて中を開けてみると、フィルムが入っていて写真機だとわかる。町の写真屋に持って行って現像を頼む。待ち遠しい少年のしぐさがフィルムの一コマずつみたい。現像した写真がすんごいの。怪物たちのいる神秘の深海の風景が数ページに描かれている。
最後のは東洋の少女が写っている。少女は一枚の写真を手にしている。手にした写真の人もまた写真を手にしている。虫眼鏡で、顕微鏡で見ながら少年は考える。
少年は自分も同じように写真を持って自分を写す。写真機は海に帰されて旅を続け、はるか南の島の少年の手に渡る。
すごいなぁ。絵も発想もすごい。

2008年12月24日

デイヴィッド・ウィーズナー「1999年6月29日」

June 29, 19991992年に発行された本だから、タイトルの1999年は近未来だ。翻訳は早くも1993年である。
【ニュージャージー州ホーホーカス、1999年。ホリー・エヴァンズは何カ月にもおよぶ研究と計画ののち、野菜の苗木を空に向かって打ち上げる。5月11日のことだ。】とはじまる。少女ホリーが段ボール箱に苗木を入れて大きな真ん丸の風船をつけて飛ばしている。翌日ホリーは学校でみんなに説明する。数週間大気中を漂って成長し地球に戻ってくると言うとみんなは絶句。
6月29日、モンタナ州ででっかい蕪が発見される。その後、国中いたるところで巨大なきゅうり、ブロッコリー、アーティチョーク、アスパラガスが発見される。ピーマンだけは着地に手助けが必要だ。テレビのニュースを見ながら新聞を切り抜くホリー。野菜は各地でその土地らしい使われ方をされるようになったが、自分の蒔いた種にはなかった野菜が数種あるのはなぜだ?
最後の3ページでそのわけが明かされる。それぞれの絵がおもしろい近未来SF絵本。(江國香織訳 ブックローン出版 1400円)

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