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久生十蘭 アーカイブ

2009年05月24日

久生十蘭の「キャラコさん」が青空文庫で読める

今日ミクシィの「久生十蘭」コミュの書き込みで知ったのだが、青空文庫で「キャラコさん」が読めるというのだ。去年の12月に入ったんだって。いま「キャラコさん」(01 社交室)を読んできた。毎日一つずつ読もう。そして次には懐かしき「顎十郎捕物帳」を読もう。

私が持っているのはずいぶん昔に発行された三一書房版の全集だか、それも全部そろっていない。今度出版される国書刊行会の全集は10万円越してしまうそうだから買えるはずがない。
ディケンズ3冊を読み終わったら、大好きな「十字街」を出してきて読もうかなと思っていたところだ。子どものとき、朝日新聞連載の「十字街」を読んで久生十蘭が大好きになった。「顎十郎捕物帳」を読んでますます好きになった。そのわりにたくさん読んでなくて、「キャラコさん」も読んでいなかった。このMacで読めるなんて、ものすごく楽しみ。

2009年05月27日

久生十蘭の「キャラコさん」を青空文庫で読ませてもらった

先日、ミクシィの「久生十蘭」コミュで知った「キャラコさん」を青空文庫で読ませてもらった。11作あるうちの「01 社交室」(1939)と「02 雪の山小屋」(1939)を読み終わった。

キャラコさんの本名は剛子(つよこ)である。退役陸軍少将石井長六閣下の末娘で、今年19歳になる。絹より木綿のような女でなくてはいけないというのが恩給暮らしの父の言葉である。
【キャラ子はキャラコ、金巾(かなきん)のキャラコのことである。剛子がキャラコの下着(シュミーズ)をきているのを従姉妹(いとこ)たちに発見され、それ以来、剛子はキャラ子さんと呼ばれるようになった。】

「社交室」の物語は川奈の国際観光ホテルの社交室で繰り広げられる。キャラコさんは叔母にしつこく誘われやってきたが、こういうところは好きでない。叔母はふだんはこんな親切でないのに呼んだのは魂胆があるからだ。はたしてこの社交室でさまざまな人生の哀歓が繰り広げられる。
おもしろかったがちょっと古くさい感じもした「社交室」だが、「雪の山小屋」はすっごくモダンで乙女心が充満していて楽しかった。志賀高原の朝日山のスロープの中腹に建つヒュッテに女学生たちが遊びに来ていて、親もキャラコさんがいれば大丈夫と安心できるというわけだ。
スキーをしていて知り合った中年の美男子にみんなが憧れる。そして梓さんは恋をする。
久生十蘭(ひさお じゅうらん 1902-1957)

2009年07月15日

久生十蘭「キャラコさん」(03 04)

「01 社交室」の最後で、社交室でぱっとしない老人(実は失踪していた千万長者)に見込まれて莫大な遺産を受け継ぐことになったキャラコさん。
「03 蘆と木笛」では、父の命令で芦ノ湖の近くの小さな温泉宿で、本を読むか、日記をつけるか、散歩をするかの生活をして半月になる。莫大な財産の相続人になったことで世間の目から隠れているのだ。「たいへんだわ、死ぬまで、金をつかうことに、あくせくしなければならないとすると……」。

散歩していて知り合った盲目の青年(南京の戦争で失明した)と話していると、彼はどういうお顔をしているか知りたいと言う。
どちらかというとみっともない、とキャラコさんは言う。目は大きいほうで視力だけはたしかよ。鼻はそこそこで、口は駄作、口を開いて笑うと奥歯が風邪を引きますの。歯並びは良くて、髪はパーマネントをかけていない。
こうして話し合っているうちに、キャラコさんは彼を東京の名医に紹介しようとするが、妹と名乗る茜に退けられる。茜は偽名を使っているキャラコさんを責め、ロマンチックだから「盲目の兄」にしておきたいとうそぶく。

「04 女の手」はキャラコさんの純情が極まる物語。精進湖までつづく道を歩いているとき、追い越していった4人の男たちに必死で追いつく。彼らは大学の研究室で「中性子放射」の研究をしている。彼らは廃棄金山を復活させるべく、日本中の廃棄金山の鉱床を調べているのだ。目を付けた鉱山で暮らす彼らの世話をやくキャラコさんは、谷で魚を釣り、ザリガニを捕り、食べられる草を探す。そして素敵な食卓が出現して男たちは目を見張る。村へ買い出しには行くが、何か月も自給自足的生活を続ける。

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