サラ・パレツキー「ブラック・リスト」
待ちに待った「ブラック・リスト」。読み出したら物語に入りこんで猛スピードで読み進んだ。いつものことだが、ゆっくりと噛み締めて二度目を読む。いまはその途中である。
40歳になるあたりでヴィクが疲れを口にしだして、実は、わたしら読者はヴィクの今後はどうなるのか心配していたのだ。ヴィクは頭脳と経験を生かし、若い者が体を張ったらどうかなんて考えたこともあるが、それじゃヴィクではない。ここまできたら這ってでも闘ってもらいたい。
今回は疲れているけど、疲れたと言っている暇はないとばかりに走り回るヴィクがいる。ジャーナリストである恋人のモレルはアフガニスタンにいる。
サラ・パレツキーはニューヨーク貿易センタービルへのテロ攻撃以後、アメリカについて、また世界について深く考えたのだと思う。人々が恐怖に陥って思考を停止したかのような時期に、正気で腰を据えて考え抜いて書いた作品だと思う。
また、ヴィクがしっかりと非抑圧者の側についた行動をし、また軽口では富める者の生活と貧しい自分の生活を対比させるのも、いままで以上である。
サラ・パレツキーはハメット以来の真のハードボイルド私立探偵小説作家だということを、「ブラック・リスト」でわたしたちに証明してくれたと思う。



