メイン

アレグザンダー・マコール・スミス アーカイブ

2007年05月05日

いまイギリスのミステリーがおもしろい

ミクシィの「女性私立探偵たち」コミュで紹介された本を読んでいる。アレグサンダー・マコール・スミス「No.1 レディーズ探偵社、本日開業」(ヴィレッジブックス)からはじまる、アフリカはボツワナの女性探偵マ・ラモツエのシリーズである。読みたいとコメントを書いたら、Rさんが親切にも翻訳がでている3冊を送ってくださった。ミクシィありがたや。
読み終わったら1冊ずつ感想を書くけど、とっても楽しい読書である。著者はジンバブエ生まれのスコットランド人だ。それでふと最近イギリス人が書いた本がおもしろいと気がついた。ローマの警察ものを書いているデヴィット・ヒューソン(「死者の季節」「生贄たちの狂宴」ランダムハウス講談社)もイギリス人だし、少し前に出たケン・ブルーウン(「酔いどれに悪人なし」「酔いど故郷にかえる」ハヤカワ文庫)はアイルランド人だ。ピーター・トレメインの修道女フィデルマのシリーズ(創元推理文庫)は7世紀アイルランドの物語である。先日図書館で借りて同じ作者の「アイルランド幻想」(光文社文庫)をぼちぼち読んでいるが、怪奇幻想というかなかなかおもしろい。
先日読んだアメリカの女性作家ミーガン・アボット「さよならを言うことは」と少し前に読んだローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」(両方ともハヤカワポケットミステリ)に余裕とユーモアを感じなかったので、いまの読書がたのしくてしかたがない。

2007年05月07日

アレグザンダー・マコール・スミス「No.1 レディーズ探偵社、本日開業」

No.1レディーズ探偵社、本日開業—ミス・ラモツエの事件簿〈1〉 アレグザンダー・マコール スミス著者のアレグザンダー・マコール・スミスは1948年にアフリカのジンバブエで生まれたスコットランド人。ジンバブエは本書の主人公、マ・プレシャス・ラモツエが活躍する、No.1 レディーズ探偵社のあるボツワナの隣国である。ボツワナは南部アフリカにあって、ダイアモンド鉱山がある恵まれた国で、紛争などには無縁な国であるらしい。
女性には名前の前に「マ」がつき、男性の場合は「ラ」をつける。名前を知らないときは「マ」「ラ」と呼ぶ。
主人公のマ・プレシャス・ラモツエは、早く母を亡くしたが父と父の従姉妹に愛情をたっぷり受けて育った。若いときにジャズミュージシャンに惚れこみ、父の反対を押し切って結婚し妊娠したが、ひどいDVを受けて離婚。悪夢のような結婚生活とはかなくも美しく5日間を生きた子どもをもった。
14年間面倒をみていた父が亡くなり、34歳になったマ・ラモツエは父の残した牛を売ったお金で探偵事務所を開く。町に出るとまず家を買い、家の一部を抵当に入れて事務所購入の費用にあてる。自動車修理工場を経営しているミスター・J・L・B・マテコニが中古のタイプライターを運んでくれ、秘書学校から秘書を紹介してもらった。〈No.1 レディーズ探偵社〉の看板をかけ、ボツワナ初の女性私立探偵の誕生である。
開業の日、お茶ばかり飲んでいるところへ、行方不明の夫を捜してほしいと依頼がある。都会の探偵なら卑しい町を歩いて捜すところを、マ・ラモツエは聞き込み調査のあと、夜になってから隣家の犬を借り、ライフル銃を持ってワニのいる川へ行く。
三人称で書かれており、ゆったりとした文体が心地よい。短編の集まりだが、ストーリーはつながっている。そして先にあった事件が後々に解決されたりする。太めのマ・ラモツエはアフリカ大地の女という感じ。女性私立探偵小説の新しい展開がうれしい。あと2冊続けて読もう。

2007年05月10日

アレグザンダー・マコール・スミス「キリンの涙 ミス・ラモツエの事件簿2」

キリンの涙—ミス・ラモツエの事件簿〈2〉 アレグザンダー・マコール スミス7日に書いた「No.1 レディーズ探偵社、本日開業」の第2弾である。こういう本は一気に3冊読むよりも、発行されたときにちゃんと買って読んでいったほうがよく味わえると思うが、まとめて貸していただいているのだから贅沢言うたらあかん。わたしの性格&生活がせかせかしているので、のんびりゆったりしているといらいらしてしまうというのはウソ(笑)、わたしなりに楽しくゆっくりと味わった。なにをおいても読み続けてしまう本は良い本だ(笑)。

「本日開業」の最後に自動車整備工場の経営者ミスター・J・L・B・マテコニに求婚されて、婚約したマ・ラモツエはこれからどっちの家で暮らすかを考えるが、ラ・マテコニの家はメイドがいるのに汚いので、マ・ラモツエのほうに住むことにする。メイドは昼間はだれもいないので、寝室に男を引っ張り込んだりして気まま放題にしていたから、この有利な立場を守ろうと必死である。
ラ・マテコニは素敵な女性と婚約してうれしくてたまらないが、孤児院にポンプの修理に行ったとき、院長に孤児2人(姉と弟)の世話を頼まれてしまう。2人を連れて町に買い物に買いに行ってマ・ラモツエとばったり。なにしてるのと言われて慌てるが、事情を話すと4人家族になろうと決めて自分の家に連れて行く。一方、気持ちが収まらないメイドはあの女のせいだと、つきあっている男から拳銃を手に入れて、マ・ラモツエを撃つつもりである。でも、それを知った男が警察に電話する。
アフリカに魅せられたアメリカ人の青年が行方不明になって10年、諦めきれない母親がNo.1 レディーズ探偵社に訪ねてくる。真相を調べると青年は亡くなっていたが、彼の妻と子を捜し出すことができた。マ・ラモツエはボツワナに古くから伝わるカゴを青年の母親に贈る。そしてカゴの小さな模様はキリンの涙だと言う。「キリンが女たちに涙を贈って、女たちはそれをかあごに編み込んだの」。このカゴが欲しいなぁ。
子どもたちモトレリとプソが健気で可愛い。きっと3冊目では活躍するだろう。それと秘書兼探偵助手のマ・マクチが楽しい。

2007年05月14日

アレグザンダー・マコール・スミス「No.1 レディーズ探偵社、引っ越しす」

No.1レディーズ探偵社、引っ越しす—ミス・ラモツエの事件簿〈3〉 (ヴィレッジブックス) アレグザンダー・マコール スミス2006年8月に発行されたミス・ラモツエの事件簿シリーズの3冊目。アフリカはボツワナ共和国の都市ハボローネで探偵事務所を開業しているマ・ラモツエは、自動車整備の仕事をしているミスター・J・L・B・マテコニと婚約している。結婚すると二人はふたつのビジネスとふたつの仕事場をもつことになる。目下の探偵事務所の収入はしれていて、秘書兼助手のマ・マクチの給料を出すのもしんどい。ラ・マテコニの事務所に同居することを考えて、そこの事務もしてもらうと話を決めた。ところがラ・マテコニの様子がおかしい。なにもする気がおこらなくなり沈んでいる。前作で婚約したので、今回は新婚生活中かと思いきや、マ・ラモツエは病気の婚約者のことも考えなければならない。引き取った子どもたちの世話は家政婦のローズがしてくれている。この国ではお金に余裕がある者が、貧しい者を雇うというべきという考えがある。一軒の家に人が入るとどこからか、使ってくれとやってくる。ローズもそうしてやってきて、あらゆる家事を引き受けている。
マ・マクチはラ・マテコニがいない工場を取り仕切り、見習工をうまく使って仕事を片付けていく。そのかたわら探偵仕事もやるというがんばりよう。
サバンナのキャンプでたき火しているグループが、裸の子どもを見つけ、その子はライオンの匂いがしたという「闇のなかの少年」という一章がある。マ・ラモツエは少年を引き取った孤児院の院長との会話で、「物事にはそっとておくほうがいいこともあります」と言う。動物が育てた子となれば新聞に書き立てられ、どこかへ連れて行かれるはめになる。その少年と病気療養中のラ・マテコニが関わる最終章があって、二人の前途にほのかに希望がわいてくる。
二人の女性探偵が引き受けた仕事を誠意をもって片付け、人と交わり人を助け収入を得る。人間とつきあえない少年がラ・マテコニと通じ合っていく。単純すぎるという人もいるだろうけど、気持ちのよい作品である。次の翻訳が待ちどうしい。

2007年05月21日

キリンの涙を編み込んだカゴ

今日はとってもうれしいことがあった。
数日前にアレグザンダー・マコール・スミスの「No.1 レディーズ探偵社」のシリーズを3巻まで読んで感想を書いた。わたしが全然知らなかったこの本を知ったのはミクシィの「女性私立探偵たち」コミュだった。大ファンのMさんと知り合い読む気になったところへ、Rさんが本を貸してくれた。
今日はそこへまた新しい展開があったのだ。Mさんが「No.1 レディーズ探偵社」のレビュー(ミクシィ最新レビュー)を書いたのだが、そのとき他にも同じ本について書いている人がいて、そのひとりはなんとボツワナ在住の方だった。積極的なMさんが彼にメールを出し、こちらのコミュにきてくださったのだ。そこでボツワナについての日常的な質問に快く答えてくださった。
そしてまあなんと! 遠からず帰国するので、そのときボツワナ・バスケット(キリンが涙を贈ってくれ、それを編み込んだカゴ)を持ってきてくれるとおっしゃるのだ。もちろん、わたしは遠慮いたしませぬ。Mさんの分と2個お願いしてしまいました〜 わあーっ、楽しみだ〜〜

2007年07月05日

「ボツワナ・ナイト」に参加しませんか

ミクシィでわたしが立ち上げたコミュニティ「女性私立探偵たち」に、Mさんが「 No.1レディーズ探偵社」(アレキザンダー・マコール・スミス)のトピックを立てられ、活発になってきたので、独立させ新しいコミュニティにした。Mさんが管理人である。
「 No.1レディーズ探偵社」は南アフリカはボツワナにある。作家はその隣国ジンバブエ生まれのスコットランド人。女性探偵の名前はマ・ラモツエ(女性には名前の前に「マ」をつける、男性には「ラ」)、太めで聡明で人情味のある女性である。
猛烈なファンのMさんに引っ張られて、わたしもシリーズ3冊を読んだ。そこへボツワナ在住の男性からのコメントが入り、なんと今月帰国の予定だという。それが大阪! あれこれのやり取りの後、大阪で会いましょうとなって、それなら他の方々も誘ってお話を聞こうとなった。Mさんは福岡からのご参加である。
8月25日午後6時から。行ってみようかなと思われるかたはご連絡ください。「届けっ」メールをご利用くだされば、わたしにメールがとどきます。
ボツワナのこと、アフリカのこと、女性探偵のこと、いろんなことを話し合って一夜を楽しく過ごしたいと思っています。

2007年08月27日

ボツワナのお土産「No.1 ルイボスティー」

ボツワナのお土産に「キリンの涙を編み込んだカゴ」と「No.1 ルイボスティー」をいただいた。今日はお茶の報告。
「No.1 レディーズ探偵社」シリーズでは、探偵事務所でしょっちゅうお茶を飲んでいるし、人が来るとお茶を出す。このお茶をブッシュティーと書いてあるが、ルイボスティーのことなんだって。それなら日本でも最近は健康食として売っている。「ポラン」のカタログにもあるのだが、ボツワナからのお土産となるとうれしさが違う。でも、飲んでしまったら買えると思うと余裕あり。
ボツワナで「No.1 」とつくことになにか意味があるのか聞いてみなくちゃ。このお茶は「No.1 Rooibos tea」である。
「ポラン」の説明書に書いてある通りに煎れてみた。〈約1.8リットルの水を沸騰させた中にティーパックを一包み入れて、弱火で約10分間沸騰させます〉
熱いのを飲んだらうまかった。さすが乾燥した暑さのボツワナで飲まれるだけある。残りは冷ましておいて飲んだら、別の味でうまかった。味は中国の紅茶「ラプサンスーチョン」に似ているが、あんなにクセは強くない。

2007年09月28日

キリンの涙のかご

100_9232.jpg

100_9238.jpg

これがボツワナに2年間滞在したGさんが帰国するときに持って来てくださった〈キリンの涙のかご〉です。ボツワナに古くから伝わるかごだそうです。
アレグザンダー・マコール・スミス「No.1 レディーズ探偵社」に描かれている、ボツワナでただ一人の女性探偵マ・ラモツエは、依頼を受けて首都ハバローネから奥地へ一人で出かけます。帰り道で道ばたに座っている女性からかごを衝動的に買ってしまいました。ほしくはなかったけど、あまりに必死な様子にほだされて情け心を出してしまったのです。
そのかごを依頼人のアメリカ女性にプレゼントします。マ・ラモツエは言います。「この小さな柄は涙よ、キリンが女たちに涙を贈って、女たちはそれをかごに編みこんだの」。で、どうしてキリンは涙を贈ったのかという質問に答えて「キリンには何もなくて涙しかあげるものがなかったんじゃないかしら」
アメリカ女性の発見された孫の少年が、「それ、ほんとう、マ?」と聞くとマ・ラモツエは「そうだといいわね」と答えます。
このくだりを読んで、そのかごが欲しいと思いました。で、ミクシィの「No.1 レディーズ探偵社」コミュに「欲しい」と書いたら、Gさんが持って帰ってあげましょうと返信してくださったのです。まさかのまさか(笑)。
先月25日、Gさんの帰国を祝って「ボツワナ・ナイト」を開きました。そのとき授与式なんかして、ついにわたしのものとなりました。

上のかごは直径25センチ、もう一つは11.5センチです。
色、形、編み方、持ったときの感じがステキ。素朴でないところが好き。アフリカの風が吹いているような、なんともいえない味わいがあるかごです。

2008年03月21日

アンソニー・ミンゲラ監督

アンソニー・ミンゲラ監督が54歳の若さでお亡くなりになった。わたしは彼の映画を2本しか見ていないのだが、2本とも強く心に残っている。
「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)はとてもつらくて、二度は見たけどもう見たくないほどせつない。クリスティン・スコット・トーマスがすごーくよくて、だからよけいにせつないのかもしれない。
「リプリー」(1999)は最初は同じ原作の「太陽がいっぱい」と比べて、へんな感じだったけど、もう一度見たら、これこそリプリーと納得できた。

去年、アレグザンダー・マコール・スミスの「No.1 レディーズ探偵社」シリーズを、ミクシィで教えてもらった。そしたらアンソニー・ミンゲラ監督で映画化されるというニュースが伝わった。ボツワナの女性探偵マ・ラモツエ役はジル・スコットとのことで、期待して待っているところだった。
亡くなられたことを知り、検索したら映画は2007年の「フィクサー」で終わっているのでちょっと慌てた。
これはおかしいと検索したらテレビ映画ということがわかった。1話1時間で全13話製作、アメリカ・カナダはHBO、イギリスはBBCが放映権を獲得したそうだ。日本には入ってくるのだろうか。

2008年09月20日

第二回ボツワナ・ナイト

ミクシィの「No.1レディーズ探偵社 」(アレグザンダー・マコール・スミスのボツワナの女性探偵プレシャス・ラモツエが主人公のシリーズ)コミュのオフ会をシャーロック・ホームズでやった。参加者6名(男性2人女性4人ではじめての人が1人)というこじんまりとした集まりだったが、全員で話ができて楽しい会合だった。
二次会は梅田新道のバーで、和やかに話し合っていい感じだった。

去年の8月に第一回をやったのだが、そのときはボツワナから帰ってきたばかりのGさんを迎えて、ボツワナやアフリカの話をいろいろ聞いた。〈キリンの涙〉のカゴブッシュティーなどのお土産ももらった。カゴはわが家の食卓でパンや果物が盛られている。アフリカの女性が作ったカゴがここにあるのが不思議な感じ。

それから1年、めでたく大阪の会社に復帰され1年働いたGさんは相変わらず精悍でたのもしい。今夜もボツワナや南アフリカ共和国、ケニアなどの写真をパソコンで見せてもらった。
もう一人の男性Eくんも去年と変わらずまじめでいい感じ。小学生のときにパンクに目覚めていたという音楽青年で話が合った。わたしがパンクに目覚めたのは大人になってかなり経っていたが(笑)。
女性2人はヴィク・ファン・クラブ会員のMさん(コミュ管理人)ともう一人のMさん。それに強力な新人あと一人のMさんが京都から加わった。ユニークなファッションのとっても楽しい人だ。
シリーズは3冊出ているけど、次作の翻訳が待たれる。

2009年04月25日

ギネスで楽しい夜

夕方出かけるときにはいいあんばいに雨があがった。阪神百貨店の地下食料品売り場へ行ったら大賑わい。それからジュンク堂ヒルトンプラザ店に行って本を買って、外国文学のコーナーで立ち読みした。

時間がきてシャーロック・ホームズへ。今日はヴィク・ファン・クラブの例会日だ。ここんとこ参加者が少なく不振をきわめているが、今日はミクシィの「No.1レディーズ探偵社」(ボツワナの探偵)コミュニティのイケメン Gくんが来てくださって賑やかだった。彼はボツワナに何年か住んでいて現地からコミュに加入、帰ってきたときに〈キリンの涙のカゴ〉をお土産にくれた人。
今日はシリアで買ったオリーブオイル石けん、博多の辛子明太ピーナツをお土産にもらった。とても話がうまいというか誠意のある話し方なので気分がよく過ごせた。Uさんと二人はギネスがどんどんはかどっていった。わたしは半パイント1杯しかふだんは飲まないが、いい気分で2杯飲みました。

今後のコミュ運営について話し合ってよかった。
アレグザンダー・マコール・スミス「No.1レディーズ探偵社」の新刊(4冊目)は8月だそうで、それを読んでから「ボツワナナイト」をやろうと決めた。

2009年08月24日

アレグザンダー・マコール・スミス「新参探偵、ボツワナを騒がす」

ミス・ラモツエの事件簿シリーズの翻訳3冊目「No.1 レディーズ探偵社、引っ越しす」が出てから3年、ようやく4冊目が出た。原書では10作目まで出ているようだ。ジュンク堂書店には平積みが3列あって出版社の意気込みを感じたが、読者が増えて次々に翻訳されたらいいなぁ。

ボツワナ共和国の都市ハボローネで探偵事務所「No.1 レディーズ探偵社」を開業しているマ・ラモツエは、自動車整備の仕事をしている婚約者のミスター・J・L・B・マテコニと同じ仕事場で働いている。マ・マクチは両方の有能な助手である。他には自動車修理見習工が2人いる。
ラモツエの周辺は最近どうもうまくいっていない。孤児院から託された子どもモトレリはいじめにあっているし、弟のプソはパチンコでヤツガシラを撃って反抗的な態度をとっている。悩んでいるとき、マクチがある日事務所に着くなり大変ですと言う。近くに探偵社ができたのだ。「100%満足保証探偵社」といって肩書きもたいそうだ。

そんなところへ裕福そうな男がやってきた。ロバを見ていたラモツエに、そのまま外で話をしましょうと話し出したのが過去の話で、若いときに犯した過ちをつぐないたいと言う。ラモツエの探偵術はよく話を聴くことなのである。

マクチがもう少し収入を増やしたいと考えたのがタイプ学校。夕方から教会の集会室で秘書学校の不用なタイプライターをもらってはじめる。熱心な生徒を教えておしゃれをするお金が入る。生徒のひとりにデートに誘われてマクチにも春がくる。

ラモツエは依頼人の過去から現在を探ってよい解決案を示し多額の探偵料を手にする。そのうえ「100%満足保証探偵社」が満足を与えなかった依頼人に満足する解決を与える。
広い大地に根ざしたアフリカの女、ラモツエとマクチ。最後の章は「困った男たちときれいにさよなら」だ。
(小林浩子訳 ヴィレッジブックス 820円+税)

2009年09月07日

アレグザンダー・マコール・スミス「日曜哲学クラブ」

ボツワナの女性探偵マ・ラモツエが活躍する「No.1レディース探偵社」シリーズの作家アレグザンダー・マコール・スミスの新訳シリーズ第1回目。今回の舞台は作者が住んでいるスコットランドのエディンバラである。

エディンバラと言えば、イアン・ランキンのリーバス警部シリーズを思い出すが、同じ都市でも全然違う住宅地やショッピング街が舞台となっている。登場人物も中産階級の人ばかりで、別世界の人間はたまたま道で言葉を交わした顔にピアスの少年くらいだ。
主人公イザベル・ダルハウジーは40代の女性で〈応用倫理学レビュー〉誌の編集長である。と言っても自宅(広い庭付きの家)で悠々自適で仕事をしている。父がスコットランド人で母がアメリカ人だが、二人とも亡くなり一人暮らし。アイルランド人の男性と結婚してアメリカで暮らしていたが、離婚してもどってきてずっとエディンバラで暮らしている。

姪のキャットはまだ24歳だがショッピング街でデリカテッセンを開いている。彼女の別れた恋人ジェイミーがイザベルのお気に入りなのだが、キャットは次の恋人と結婚するつもりのようだ。叔母と姪はよくお茶したり食事をしたりして仲がいい。イザベルがいまの恋人のことを気に入らないのが二人の間の問題である。
父の代から働きに来ている家政婦のグレースは家事と秘書的な役割もこなしている。確固たる信念の持ち主でイザベルが意見を聞くと堂々と自分の考えを披露する。

3月下旬のこと、イザベルはアッシャーホールの音楽会へ行く。演奏が終わって人が少なくなってきたとき、2階にいる彼女の目の前を上階の天井桟敷から若い男が降ってきた。
イザベルは下まで落ちて亡くなった男のことを忘れられず、真相を調べてみようと思い、聞き込みをはじめる。
(柳沢由実子訳 創元推理文庫 940円+税)

2009年09月08日

アレグザンダー・マコール・スミス「日曜哲学クラブ」とエディンバラ

イザベル・ダルハウジーは〈応用倫理学レビュー〉に送られてくる哲学論文を読む日常を送っているが、気が向くと姪と食事やお茶に出て行くし画廊に行くこともある。知り合った人とよく話す。
画廊で欲しい絵があったので、他の絵を見てからにしようと思い、やっぱりこれにしようともどってくるとポールという青年が予約していた。エディンバラは狭いからどこかで会っていますよねという会話があり、秘密なことをしようと思うとグラスゴーまで行くのかしらとイザベルが言うと、ポールはそういう人はたくみに秘密を守っていると答える。少年を求める男たちとか。
その続きで、エディンバラについてこんな文章があった。
【・・・しかし、因習とかしきたりはじつに厄介なもの。だから、人はやりたいことができるバーとかクラブへ行くのだ。でも、それをおおっぴらにはしない。ジギル氏とハイドの物語は、もちろんエディンバラで生まれた。ここではあの物語はまったくうなずける話だったのだ。】
検索したらジギル博士のモデルがいたそうだ。18世紀半ばのエディンバラの市会議員で、昼間は実業家で夜は盗賊だったんだって。エディンバラについての知識が増えた。

そして、ポールはフィアンセともどもきちんと働いていますと続ける。「ボヘミアンではない?」とイザベル。そうか、ドロシー・L・セイヤーズにボヘミアンという言葉が出てくるけど、いまも使われているんだ。イギリスに詳しい人に聞いてみよう。

イザベルは上品に暮らしているけどお節介だ。立場を忘れてついほんとのことを言ってしまう。これは言うたらあかんとわかっているのに、頭よりも口が先に動く。あっ、しもた、と思っても後の祭りである。ここがお上品とは縁のないわたしと同じなので笑ってしまう。できるだけ考えてからものを言おうと思っているのに、口から飛び出ていくのよね。
気に食わない姪のフィアンセを街で見かけて尾行するところもおもしろい。結局この行動が彼氏の不実が姪にわかる元となる。
(柳沢由実子訳 創元推理文庫 940円+税)

2009年10月25日

ボツワナ・ナイトとPANORAMAの夜

今年で3回目になるボツワナ・ナイト。アレグザンダー・マコール・スミスの「No.1 レディーズ探偵社」シリーズのミクシィコミュのオフ会である。コミュができたときにはボツワナにおられたGさんが帰国されてすぐに第1回をやり、去年は第2回がつつがなく終わった。今年は3回目だったが肝心のGさんが、なんと!新型インフルエンザに感染されたのが昨日わかった。
せっかくボツワナ関連の資料を整理して、しかも最近までボツワナにいた若者を同行するという話だったのにお流れになって残念だった。

ヴィク・ファン・クラブの例会と共同だし場所は予約済みだしとわたしらは集まることにした。朝起きたときはなんとなく風邪気味っぽかったのだが、半身浴をして昼寝を2時間して気分良くなり夕方出かけた。シャーロック・ホームズで3時間、移動30分、ギロチン2号店2時間30分と雑談大会だったが楽しくすごした。終電ぎりぎりに電車組は地下鉄駅へ。

わたしは家に帰り顔を洗って出直した。出直した先はPANORAMA。女性が主のDJ、はにゃさんのVJ、手芸部の作品等のフリーマーケット、そして食べ物はサツマイモのスイーツやお寿司と盛り沢山。
はにゃさん製作の布バッグを買い、コーヒーとサツマイモのケーキを食べ、maikoさんのDJが終わる1時半までいた。われながらタフやのう(笑)。でもお風呂に入ってこれを書いていたらクシャミが連発。はよ寝よ。

2010年01月29日

アレグザンダー・マコール・スミス「友だち、恋人、チョコレート」

友だち、恋人、チョコレート (創元推理文庫)まるでバレンタインデーにあわせて発行された感じだと思ったが、それもよかろうと買った。たしかに、友だちも恋人もチョコレートも出てくるが、内容はまったく甘くなくて深く考えさせられる本だ。

主人公は前回の「日曜哲学クラブ」の主人公、哲学者のイザベル・ダルハウジーで、デリカテッセンを営む姪のキャットと、キャットにふられたがずっと彼女を想っている音楽家のジェイミーが今回も重要な役割で出てくる。

キャットが友人の結婚式に招かれてイタリアに行くので、イザベラは留守の間の店番を引き受ける。おとなしいエディ青年と店で働くが、昼食のときに客席に座って食事をして各国の新聞を読む。ドイツの〈シュピーゲル〉誌は興味深い。彼らはいまでも第二次世界大戦とドイツ人の犯した罪について書くからだ。ドイツ人は道義上の真剣さでまっとうに評価されるべきだとイザベラは思う。

違う日に新聞を読みながらランチをとっていると、いつのまにか満席になっていて、一人の男が相席していいかと聞く。言葉を交わすと彼は最近心臓移植を受けたと言う。話がこみいってくるとイザベルの会話は哲学の領域に入っていく。

ジェイミーが来たとき、突然恋に落ちたことを話す。ルイーズは年上の結婚している女性だった。イザベルは彼らを食事に招く。この女性は裕福で快適な暮らしに慣れている感じがある。物質的安定が奇妙な自信を与えている。言葉を交わすうちにイザベルに関心がないのがわかってきた。そこで言ってはならない一言「ご主人はなにをしていらっしゃるの?」ほんまに愉快な哲学者だ。

心臓移植をした男イアンは病気の前は心理学者だった。二人の会話はますますおもしろくなる。イアンはワイン少々はかまわないが、チョコレートはだめだと言う。イザベラの返事
【「チョコレートには重大な哲学的課題が含まれているんです。誘惑と自己管理の度合いがわかりますから」それから少し考えをめぐらせた。よく考えれば、チョコレートについてはかなりたくさんのことが言えそう。「そう、チョコレートは大きな試金石ですわね?」】
今日はここまで。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 940円+税)

2010年01月30日

アレグザンダー・マコール・スミス「友だち、恋人、チョコレート」続き

友だち、恋人、チョコレート (創元推理文庫)ジェイミーとルイーズはおざなりな挨拶で帰っていった。イザベラは謝りの電話をしようと思う。ルイーズが無神経だったにせよ、あれは狭量な行為だった。
【謝罪はすぐにしなければ。父親の言葉を思い出した。日本が満州に対してなしたことについて中国に謝罪したときのことだ。四十年は遅すぎるだろう、と父は言い、そして、だがこのようなことは急ぎたくはないのだろうな、と言い足した。】
イザベルはジェイミーに対して密かに恋心を持っている。あのとき嫉妬心があったことを言ってもジェイミーには理解できない。彼はルイーズとの恋は終わったと言う。そしてキャットが欲しいだけだと付け加える。

イアンはイザベルを昼食に招待する。お互いに相手を知るために知り合いから情報を得ているのがわかる。信頼ができる相手ということでイアンは話す。彼はドナーのことをエディンバラの男性ということしか知らされていない。合理主義者として生きてきたイアンだが、いま記憶が脳以外の場所にもあると思えてきた。体に痛みが襲ったときあるイメージが浮かぶ。いつも同じ人間の顔。
イザベルは図書館で新聞を調べ、ドナーであろう人間を特定する。ここでイザベルの大暴走、思ったら突き進む行動力が発揮される。訪ねた相手にいぶかしがられ、嫌がられても突き進む。家政婦グレースの信じる降霊術の会まで行ってみる。

そのかたわら、本業の〈応用倫理学レビュー〉の編集仕事もしている。次は食べ物の倫理について特集を組もうかと考える。
【考えれば考えるほど、チョコレートに関する哲学的思考範囲は広がるばかり。(中略)なぜ人はそれを食べ過ぎるのか? 意志薄弱のせいではないかと疑っていいのだろう。でも、それでもチョコレートを食べるのなら、そうするのがもっとも関心のあることだからということになる。わたしたちの意志は、好きとわかっていることをするようにそそのかす。ということは、わたしたちの意志は薄弱ではないということになる。(中略)チョコレートって単純じゃない。】

なんだかチョコレートを食べ過ぎたときの言い訳になりそう。さっきお茶をいれてチョコレートをいつもよりひとつ多く食べてしまった(笑)。

物語もおもしろいが、エディンバラの街の描写がいい。グリーンのスウェーデン車に乗って村へ行く道の描写もいい。カフェやレストランも行ってみたくなる。ワインもチーズもパンもうまそう。
とても気持ちのよい物語の終わりに癒されるし、チョコレートが食べたくなる。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 940円+税)

2010年01月31日

アレグザンダー・マコール・スミス「友だち、恋人、チョコレート」大人の女の魅力

友だち、恋人、チョコレート (創元推理文庫)大人の女なんていうと女性誌みたいだけど、イザベル・ダルハウジーは40代前半の魅力溢れる大人の女だ。仕事は哲学雑誌〈応用倫理学レビュー〉の編集仕事を在宅でやっている。スコットランド人の父親とアメリカ人の母親はもういない。アイルランド人の男性と結婚してアメリカに住んでいたが離婚して帰国した。父親の遺した家に住み母親の遺した株のおかげでお金が振り込まれてくる。名前を出さないであちこちに寄付をしているが、匿名故にケチな人のように陰口をたたかれている。

デリカテッセンを営む姪のキャットとはお互いに理解しあっている仲だ。キャットがふった相手のジェイミーはいまもキャットに未練があって、イザベルとのつき合いを絶やさないようにしている。イザベルはジェイミーと食事したりしながら、自分自身がジェイミーに惹かれているのを感じている。

関わってしまった事件の話をジェイミーにすると、そこまで入り込むなとか、その件はイザベルの考え違いだなどと指摘したりする。イザベルの思い込みからくる行動をとめるところがおもしろい。

家もお金もあり高級な仕事もあり、なに不自由ない暮らしをしているイザベルに読者は(特にわたしは-笑)反発しそうだけど、いつのまにか共感してしまうのは、滑稽なほどいっしょけんめいな姿勢のせいだろう。
(柳沢由美子訳 創元推理文庫 940円+税)

About アレグザンダー・マコール・スミス

ブログ「kumiko 日記」のカテゴリ「アレグザンダー・マコール・スミス」に投稿されたすべてのエントリーのアーカイブのページです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のカテゴリはS・J・ローザンです。

次のカテゴリはアンナ・マクリーンです。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。