S・J・ローザン「苦い祝宴」
女性私立探偵小説を読んだのは久しぶりで、とてもおもしろかったけれど、文字が細かい上にやけに長くて、えらく時間がかかってしまった。今日は最後の追い込みとばかりに読み続け、ようやく12時5分前に読み終わった。あわてて読んだので結末のあれこれで理解しにくいところがある。最後のところを明日読み直さなくちゃ。
女性作家S・J・ローザンの、中国人女性探偵リディア・チンと白人男性探偵ビル・スミスの物語の5冊目である。1作ごとに主役が入れ替わるのだが、今回はリディアが主役でビルが助手になる。
全体の印象は映画「イヤーオブザドラゴン」であった。ミッキー・ローク扮するニューヨークの刑事が、中国人の闇世界の新しい実力者(ジョン・ローン)を追いつめていた。あれはすごい映画だったなぁ。あの映画でわたしはミッキー・ロークにめろめろになったのであった。
リディアはニューヨークのチャイナタウンで、子どものときからの友人である弁護士ピーター・リーに、失踪した中国人労働者4人を探してほしいと依頼される。ピーターの婚約者メアリー・キーは敏腕の刑事で、危険なこの事件にリディアが首を突っ込むのをやめさせようとするが、それで引っ込むリディアではない。探っているうちに、ピーターが爆破事件にまきこまれて大怪我をすると、よりいっそうはまりこんでいく。
なぜかチャイナタウンの大物H・B・ヤンがリディアに声をかけてきて、失踪人を探すように依頼する。彼の経営する中華料理店〈ドラゴンガーデン〉の飲茶売りになって、店内の様子を探っていくうちに、失踪人には麻薬の密輸がからんでいるらしく事件は複雑になっていく。
小柄なリディアが、さまざまな権力を持つ男たちを相手に、一歩も引かずに頑張る姿を見るのが心地よい。早く結婚しろとこうるさい母親が最後に友人へ電話しているのを聞いて、リディアは元気になる。母親はこう言っていた。表彰されてテレビに映ったメアリーのことを「あんなふうにテレビに映されちゃうのは考えものだわね。反対に差し障りなく仕事を続けることができるように、表立たないでひっそりしているってのは見上げたものよ」。リディアには「仕事を続ける」と母親が言ったことが、春の夜に温かみを添えたように思えた。(創元推理文庫 1000円+税)

